Bizコンパス

IT戦略を語る
2019.11.25

AIはHowに過ぎない。何を解くか定義できることが重要

株式会社 FiNC Technologies 代表取締役CTO 南野 充則 氏

 国内No.1ダウンロード数※のダイエットアプリ(ヘルスケア/フィットネス)※※を提供するFiNC Technologies代表取締役CTO で「日本ディープラーニング協会」最年少理事の南野氏が同社のIT戦略を語る。

※ 日本国内App Store & Google Play 1年間(2018年10月〜2019年9月)のダウンロード数の合算です。/出展:App Annie
※※ App Store「ヘルスケア/フィットネス」カテゴリおよびGoogle Play「健康&フィットネス」カテゴリでのアプリを「ダイエットアプリ」としています。

 

最先端テクノロジーでヘルスケアを革新する

―― 会社設立の経緯を教えてください

 代表取締役CEOの溝口勇児は、プロアスリートの身体づくりや、膝・腰が悪く日常生活が困難でリハビリテーションを必要とされる方、深いコンプレックスを持たれている方のサポートを行ってきた日本有数のパーソナルトレーナーです。溝口のパーソナルトレーニングの満足度は非常に高く、その価値をもっと多くの方に提供したいと考えていましたが、コストや物理的な制約もあり1カ月に50人の対応が精一杯でした。

 一方、日本では高齢社会が進んでおり、多くの人が健康に関する課題を抱えています。こうした課題の解決に、自身のノウハウが役立つと考えた溝口は、テクノロジーを使えば、対面で提供してきたパーソナルトレーニングのノウハウを多くの人に提供できるのではないかと考え、FiNC Technologiesを創業したのです。

―― FiNCアプリでは、どんなことができるのですか

 FiNCアプリは、歩数や体重、睡眠、食事、生理などのライフログを記録できます。そのデータをベースにしつつ、ユーザーの悩みや興味関心も踏まえ、ユーザーに最適なヘルスケアのアドバイスを提供します。さらに歩く、体重を測る、睡眠を記録するなど健康にいいことをすると、FiNCモールで使えるポイントを付与するインセンティブもついてきます。その人に合った最適なアドバイスを提供するには、継続的に使っていただき、たくさんのデータを集める必要があるので、そうした仕組みを採用しています。

―― 「すべての人にパーソナルAIを」というミッションを掲げていますが、どのような領域にAIを活用しているのですか

 AIを使う目的は明快です。「手間なく」「ラクに」「楽しく」「安価で」「個人に最適なものを届けること」この5つです。

「手間なく」「ラクに」「楽しく」することとは、ライフログを記録する煩わしさをなくすことです。たとえば、毎日睡眠の記録を入力するのは面倒ですよね。だから、普段の生活や過去の入力データを分析して「あなたは昨晩このぐらい寝ましたか」と予測をする方法を採用しています。食事の記録も毎回メニューから料理名を検索して登録するのは面倒ですから、写真を撮るだけでその画像を認識して登録できるようにしました。

 安価で提供することは、パーソナルトレーナーにお願いしたら費用がかかる診断などを、無料で提供することを意味しています。一般的にパーソナルトレーナーはジムに来たお客さまの姿勢を計測して「左の肩上がっていますね」、「猫背ですね」、「骨盤が後傾していますね」といった診断を行い、そのゆがみをストレッチで直してからトレーニングします。そういう診断は普通お金を払わなければ受けられませんが、FiNCアプリならカメラで体の正面と横を撮るだけで、ゆがみの診断ができます。その姿勢分析にAIを使っています。

 個人に最適化することは、パーソナライズされたアドバイスを届けることを意味しています。僕らは非常に多くのヘルスケアコンテンツを持っているのですが、その量が多過ぎて人間がユーザーに最適なものをマッチングするには時間がかかりすぎてしまいます。そこにAIを使って自動的にレコメンデーションする機能を実現しました。

 

料理の画像だけで栄養量を算出するAIを開発

―― 料理の画像から栄養量を認識する研究をしているとの記事を読みました

 たとえば、「カレーライス」が目の前にあったとして、その中にご飯が何グラム、ルーが何グラム、肉がどのぐらい入っているのか、見ただけではわからないじゃないですか。でも、管理栄養士は、料理を見れば「これは豚肉のカレーライスで、お皿のバランス的にご飯は何グラムくらい入ってそうだ」と見極めてアドバイスできます。ディープラーニングでは「カレーライス」までは認識できても、画像から素材や量まで推定することは難しかったのですが、昨年、内閣府 革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)に参画してやらせていただきました。

―― プロジェクトの目的は何ですか… 続きを読む… 続きを読む

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南野 充則(なんの みつのり)

東京大学工学部卒。大学在学中にヘルスケアスタートアップ、株式会社MEDICAおよびCDSystem株式会社を創業。東京大学在籍中に北京大学で開催されたスマートグリッド分野における国際学会で世界一の座を争い「BEST STUDENT AWARD」を受賞する。2016年8月に、国内初となるウェルネス・ヘルスケア領域に特化した人工知能研究所「FiNC Wellness AI Lab」を設立。2017年、ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目指す団体、「日本ディープラーニング協会」最年少理事に就任。2018年9月にFiNC Technologies 代表取締役CTOに就任し、書籍「未来IT図解 これからのディープラーニングビジネス」を2019年6月に出版。

◎情報収集方法
カンファレンスや学会などに出席。自分より進んでいるCTOに話を聞く
◎コミュニケーション方法
コミュニケーションは前提が大事なので目的から話す
◎ストレス解消法
筋トレ、料理

株式会社 FiNC Technologiesについて
■ 事業内容 ヘルスケア/ダイエットアプリの開発・提供、ECサイト運営、パーソナルジム運営 ほか
■ 設立年月 2012年4月11日
■ 本社所在地 東京都千代田区有楽町1丁目12-1 新有楽町ビル5階
■ 業種 情報通信
■ ホームページ

https://finc.com/

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