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IT戦略を語る
2019.09.02

医療ビッグデータをAIで解析して病気の予兆を発見

株式会社MICIN 取締役CTO 巣籠 悠輔 氏

 AIによるデータ解析を予防医療やQOLの向上に活かし医療の変革に挑むMICIN(マイシン)のCTOであり、世界が注目するディープラーニングの第一人者でもある巣籠悠輔氏がIT戦略を語る。

 

医療分野におけるデータの特徴量設計に強み

―― 医療情報のデジタル化が進んでいますが、データ活用が進まないのはノウハウやツールが足りないのか、医師の属人的判断が重視されているからなのか、コストの問題なのか、何が理由だとお考えですか

 今おっしゃった問題の、いくつかは当てはまると思います。ただ、データは蓄積されているとはいえ、分析に必要なデータ数が足りないという物理的事情も大きいと思います。

 先ほど属人的というキーワードが出ましたが、すべての医師が前向きにデータ活用を考えているわけではありません。また、医療法人が得られるデータ数、あるいは個々の医師が得られるデータ数には限界があります。研究室の先生と協力体制が築けている医療機関ならば結構なデータ数を蓄積していますが、そこは医療機関や医師に依存します。

―― 医療におけるAI活用は、どのようなベネフィットをもたらすのでしょうか

 医師の診断をサポートするので診療効率が上がり、医師不足解消に貢献すると思います。また、従来の診療では見つけられなかった疾患、特にその予兆を発見しやすくなることが考えられます。それを実現すると、疾患の定義まで変えられる可能性があります。

 たとえば、今は何かしら症状が発生した際に医師が確定診断を行って病名がつきますが、将来こういう症状が出るという予兆まで含めて疾患と定義されるかもしれません。予兆がわかれば、その時点で病気を防ぐアクションを起こせますから、発症を減らせる可能性があります。

―― 御社が利用するAIの特徴や強みを教えてください

 近年、特に画像分析の分野で人間が特徴量を設計しなくて良いディープラーニングが注目されていますが、弊社は画像分析がメインではなく、難しいと言われる構造化データや非構造化データの分析に強みがあります。

 構造化にせよ、非構造化にせよ、特徴量を見つけて予測に活用しなくてはいけないのですが、それをやるにはデータサイエンスだけでなく、医療の知識が必要です。弊社は、その両方ができる人材が集まっていることが、大きな強みです。

 

AIで産後うつや休職の兆候を早期発見へ

―― AIの活用事例を紹介してください

 名古屋大学と共同で産後うつの早期発見と支援策を開発する研究に取り組んでいます。データ分析で、どんな妊婦が産後うつになりやすいのか、その因子を明らかにして妊娠中の治療や介入を可能にし、重症化を防ぐことを目指しています。

―― 産後うつのように原因の特定が難しく、病状も千差万別な症例の特徴量をどうやって設計するのですか

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巣籠 悠輔(すごもり ゆうすけ)
学生時代にGunosy, READYFOR の創業メンバーとして、エンジニアリングやデザインを担当。 大学院修了後は電通にてデジタルクリエイティブの企画・制作、ディレクションに従事。Googleニューヨーク支社勤務を経て、MICINを共同創業。 2016年9月より東京大学招聘講師。 著書「Java Deep Learning Essentials」「詳解ディープラーニング」等

◎情報収集方法
AI周りに関する情報は、全部Twitter経由
◎コミュニケーション方法
AIの知識がない人にもてきちんとわかりやすく伝える
◎ストレス解消法
水泳

株式会社MICINについて
■ 事業内容 医療データをAIなどで解析・活用するデータソリューション事業
オンライン診療サービス「クロン」などを手掛けるアプリケーション事業
■ 設立年月 2015年11月26日
■ 本社所在地 東京都千代田区大手町2-6-2 日本ビル13階
■ 資本金 584,195,000円(資本準備金等含む)
■ 従業員数 非公開
■ 業種 情報通信
■ ホームページ

https://micin.jp/

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