「データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー2016」を受賞したパイオニアの鎌田喬浩氏が、カーナビで収集したデータからAIで渋滞を自動判別する技術の開発について語る。

 

カーナビから収集した1億枚の画像をディープラーニングで学習

―― 御社はカーナビからどのようなデータを収集し、どう活用しているのですか

 弊社では、カーナビから走行履歴などを収集するとともに、渋滞や天気、観光などの情報をリアルタイムで提供するネットワークサービス「スマートループ」を2006年にはじめました。

 「スマートループ」を通じて収集するカープローブデータには、通信モジュールを介してリアルタイムに収集するデータと、地図更新などのタイミングで収集する蓄積型データの2種類があります。リアルタイムデータは走行履歴、蓄積型データには地点情報、通信履歴など詳細な情報が含まれます。

 2013年からは「スマートループ アイ」というサービスを開始しました。これは、車載カメラユニットとカーナビを接続し、走行時に撮影した画像をプローブデータと合わせてリアルタイムに収集・共有するサービスです。弊社は「スマートループ アイ」を通じてこれまでに1億枚以上の画像データを収集し、この画像をディープラーニングの教師データとして活用しています。

―― ユーザーが「スマートループ アイ」を利用したいと思うインセンティブは何ですか

 「ARスカウタービュー」というVR/AR技術を使い、実際の前方風景の映像上にルート案内などを表示させることができます。また、同ルートを先行して走る車が撮影したリアルタイム画像を表示することができ、後続車両は、これを参照することで渋滞状況や、現地の天候、冠水や大雪などさまざまな情報を知ることができます。

―― 走行中に常時画像を撮影してアップロードし続けているのですか

 弊社が過去に蓄積したさまざまなデータをもとに、渋滞しやすい場所やリアルタイムの情報が必要な場所を全国8,000地点ほど絞り込み、そこを通過した際に自動で撮影し、その結果をアップロードするよう設定しています。

 

静止画像によるディープラーニングで渋滞を判断することの難しさ

―― 収集した画像を使ってAIで渋滞を判別するのですね

 我々が属する情報サービスプラットフォームセンターでは、収集した1億枚のデータからディープラーニングに自動認識させるための教師データを作成しています。

 一枚一枚の画像とともに、速度や走行した時間、緯度経度などのデータを収集しているので、まずこれを分析し低速度で高速道路を走っている画像を集めます。通常は、この画像をディープラーニング用の教師データにするのですが、我々は、… 続きを読む

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鎌田 喬浩(かまだ たかひろ)
1981年、長野出身。2006年入社。2008年よりカープローブデータの活用プロジェクトに参加。以降、データ分析による機能改善活動やテレマティクスサービスの開発を担当。2013年には車載カメラの映像を収集するスマートループアイサービスを開発。現在は、これまでに収集した1億枚以上の画像を応用したAIの研究開発を担当
◎情報収集方法
Twitter、ベンダーの勉強会
◎コミュニケーション方法
チャットの活用。検索やログ参照、統計分析などができるから
◎ストレス解消法
山登り

パイオニア株式会社について
■ 事業内容カーエレクトロニクス事業ほか
■ 設立年月1947年5月8日(創業1938年1月1日)
■ 本社所在地東京都文京区本駒込2-28-8 文京グリーンコート
■ 資本金917億3,100万円
■ 従業員数17,046名(連結ベース:2016年3月末)
■ 業種電気機器
■ ホームページ

http://pioneer.jp/

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