Bizコンパス

IT戦略を語る
2015.12.10

データ中心アプローチで下水道マネジメントを効率化

地方共同法人日本下水道事業団 情報システム室 室長 富樫 俊文 氏

 日々の生活に欠かせない社会インフラである下水道の処理施設を設計・建設・維持管理する日本下水道事業団のIT戦略を、情報システム室長の富樫俊文氏が語る。

 

社会インフラ整備に伴う業務量増大を受けてIT化を推進

―― 事業の概要を紹介してください

 下水道には大別すると処理場とポンプ場、管路という施設があり、その中で下水道事業団(JS)は主に処理場・ポンプ場の設計、建設、維持管理に携わっています。通常は事業主体である地方公共団体が設計コンサルタントさんやゼネコンさん、メーカーさんに発注して施設をつくるのですが、下水道技術者が足りなかったり自治体の規模が小さかったりする場合、我々が施設の設計、建設、維持管理を受託して行っています。

―― 事業におけるITの役割を教えてください

 我々が本格的な情報化に取り組み始めたのは1996年7月です。このタイミングで「JS再構築基本構想」というプランを策定し、1人1台のパソコン導入と、ネットワークの整備による業務効率化に取り組みました。当時はビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)が話題になっていたこともあり、我々もBPRに取り組まなければならないという発想から基本構想を策定しました。

―― 「再構築」というからには、今までの仕組みに問題がありそれをつくりかえる目的があったということですよね

 この時期、国内では公共事業投資が増え、従来のやり方では我々の業務が回らず、品質の低下を招くことが懸念されました。これを回避するには、情報技術を取り込み業務の効率化を図る必要があると、社内において方針が示されました。1996年12月には「情報システム・業務の標準化」に関するアクションプログラムをまとめ、それに則ってシステム開発を進めました。

 1997年10月にはNTTのフレームリレーを導入しJSの全国の拠点をネットワークで結びました。当時、大企業以外で全国の拠点をネットワークで結んだ組織は珍しく、先進的な取り組みだったといえます。これによる成果は、電子メールによるコミュニケーションの円滑化、ファイルの共有化、プロジェクトマネジメントの本格導入、各種業務システムの構築とデータ連携などを実現できたことです。

 定性的な効果としては、ITが業務に必須のツールであるという意識が醸成されたことです。「JS再構築基本構想」をまとめる以前は「パソコンなどでは仕事ができない」「メールなど誰も使わない」など否定的な意見がありましたが、今では「メールが使えないと困る」とか「1時間でもサーバが止まったら仕事ができない」と苦情が寄せられるようになっており、この15年、20年間で大きく業務環境が変わったと実感しています。

 

「守りのIT」から「攻めのIT」へ

―― 当時の基幹システムの構成を教えてください

 人事、経理、会計がホストコンピュータを使い、ビジネス系の部署ではロータスやエクセルなどの表計算ソフトを使っていました。また、工事費の積算システムはいち早くクライアントサーバーを導入していました。

―― IT導入により業務効率化の目的は達成できましたか… 続きを読む… 続きを読む

続きを読むには会員登録が必要です

富樫 俊文(とがし としふみ)
1965年、兵庫県出身。1988年日本下水道事業団に採用され設計・施工管理業務に従事。1996年から4年間、情報システム推進室で社内の情報化とBPRに携わる。以後、総合事務所で下水道施設のプロジェクトマネジメント業務等に従事し、2015年4月から現職
◎情報収集方法
各種展示会への参加、ベンダーの営業訪問は基本的に受ける
◎コミュニケーション方法
経営層とは月一回の定例会、各部署とはシステムに対する問い合わせなどを通じてコミュニケーション
◎ストレス解消法
読書など

地方共同法人日本下水道事業団について
■ 事業内容 地方公共団体の委託に基づく下水道施設の設置等の設計、工事監督管理、維持管理等
■ 設立年月 1972年 11月
■ 本社所在地 東京都文京区湯島二丁目31番27号
■ 資本金 12億7,510万円(2013年度)
■ 従業員数 約710名
■ 業種 地方共同法人
■ ホームページ

https://www.jswa.go.jp/

IT戦略を語る その他の記事

身の丈にあったロートのIT-BCP

ロート製薬株式会社

電子出版と教育IT事業を加速する学研

株式会社学研ホールディングス

マーケティング部門とIT部門を統合した狙いとは

東急不動産ホールディングス株式会社

コープ東北がオリジナル版「脳トレ」を開発した理由

生活協同組合連合会 コープ東北サンネット事業連合

閲覧ランキング

アプリの利用を拡大しユーザーの脳内シェアを高める

2

アプリの利用を拡大しユーザーの脳内シェアを高める

株式会社クレディセゾン

グローバルと日本の美をハイブリッドに融合

3

グローバルと日本の美をハイブリッドに融合

日本ロレアル株式会社

SHARE

関連記事

ERPクラウド化を成功させたサッポログループの選択

2016.07.29

徹底解説!基幹系システムのクラウド移行第13回

ERPクラウド化を成功させたサッポログループの選択

閲覧ランキング

アプリの利用を拡大しユーザーの脳内シェアを高める

2

アプリの利用を拡大しユーザーの脳内シェアを高める

株式会社クレディセゾン

グローバルと日本の美をハイブリッドに融合

3

グローバルと日本の美をハイブリッドに融合

日本ロレアル株式会社