全国のコンビニエンスストア(以降、「コンビニ」)やスーパー、ドラッグストアなどに13,000台以上のATMを展開する株式会社イーネット。同社のIT戦略をシステム企画室長の長谷川晃氏が語る。

 

銀行、コンビニ、ベンダーとの共同スキームによるATMビジネス

―― コンビニATMというビジネスモデル誕生の経緯を教えてください

 当社が会社を設立した1999年当時は、まだバブル崩壊の余波もあり設備投資が停滞している時期でした。そのため、コンビニの店内ATMのニーズがあるとわかっていても、個々の銀行がそこにATMを設置するための投資をするのは難しい状況でした。その解決策として、コンビニに場所を提供いただき、ATMのメイン業務を銀行が実施し、ATMを運営するために必要なサービス・インフラを含めて提供するベンダー企業等を当社が取りまとめ、ATMをコンビニ内に設置するという共同スキームを構想したというのが、このビジネスを立ち上げた経緯です。

―― インフラを支える御社のIT部門は、どのような役割を担っているのですか

 全国13,000台以上のATMのシステムに関する基本的な業務は日本アイ・ビー・エム株式会社(以降、「IBM」)にフルアウトソーシングしています。ですから、当社のIT部門の役割はATMの安定稼働と企画に関する部分です。

―― ATMにおける企画とは何を指すのですか

 銀行とってATMは、お客さまとの貴重な接点です。当社の企画力とは、この重要な接点であるATMを活用して、銀行とお客さまとの関係性を深めるサービスを立案し、実現させることです。

―― デジタルサイネージを搭載した新端末を開発されましたが、それも企画力を活かした一例と考えてよいですか

 当社のATMは全国にあり、コンビニをはじめさまざまな場所に設置されるため、その設置場所に合わせた柔軟性が必要となります。この課題を解決するには、デジタル技術と、デジタルサイネージの端末それぞれが、個別に変化できることが必要です。そのため、当社が展開するデジタルサイネージは、すべての端末に市区町村の住所コードが入っており、その端末ではその住所コードを参照してサイネージにさまざまな情報を映すことができます。さらに、コンビニチェーンの種別や端末番号でも内容を変更することも可能です。ただし、どのような情報を提供することが効果的なのかは、今後銀行やコンビニと相談しながら考えていく必要があります。

 サイネージの活用事例としては、過去に選挙広告を掲載したことがあります。

 また、サイネージとは関係ありませんが、先ほどお話しした住所コードはATMにも入っており、その住所コードを使ってATMの音声をその地域の方言に変えるサービスを新たにはじめています。こうした工夫をすることで、当社のATMを使うお客さまを増やし、銀行やコンビニ、さらにはサービス・インフラを提供するベンダー企業等とともにATMを効果的に活用していきたいと思っています。

 

課題はシステム開発のスピード

―― ソフトウェアはATMの端末に組み込んでいるのですか、それともクラウドで運用しているのですか… 続きを読む

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長谷川 晃(はせがわ あきら)
1961年、神奈川県出身。1984年に日本IBM入社、製品企画部門を経てATMなどの端末開発に携わる。1998年、イーネット立ち上げ時にIBM内の設立メンバーとして仕様を定義。2005年、日本IBM退職後ソフトハウスに経営メンバーとして参画。2009年3月イーネット入社、2015年1月から現職。
◎情報収集方法
先方にとっての有益な情報を持ち、情報を持つ人の元へ足を運ぶ
◎コミュニケーション方法
人に任せたら口を出さない。背中を見て何かありそうなら話しかける
◎ストレス解消法
すぐ答えを出して動き出すのでストレスはたまらない

株式会社イーネットについて
■ 事業内容マルチメディア機能付きATMの設置、運営、保守および管理に関する業務
■ 設立年月1999年 9月17日
■ 本社所在地東京都中央区日本橋浜町3-15-1
■ 資本金43億47,732,000円
■ 従業員数75名(2015年10月31日現在)
■ 業種サービス業
■ ホームページ

http://www.enetcom.co.jp/

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