Bizコンパス

IT戦略を語る
2015.08.13

デイリーな業務のシステム化は情シスの仕事ではない

川崎汽船株式会社 執行役員CIO 河野 修三 氏

 グローバル化により競争が激化する海運業界において独自の専用船やエコシップを投入し、業界をリードする川崎汽船のIT戦略を執行役員CIOの河野修三氏が語る。

 

総合海運事業を支えるグローバルシステムを構築

―― 御社の事業を支えるIT戦略を教えてください

 グローバルな総合海運事業を展開する当社にとって、情報システム部門の役割は非常に重要です。以前は日本専用、北米専用とテリトリーごとにシステムを開発していたため、データ連携面で問題を抱えていましたが、現在はシステムをグローバルで統一しています。これにより運賃、費用などに関する情報を世界規模で一元管理できるようになり、経営戦略の立案に欠かせない情報の収集・分析を迅速に行えるようになりました。

―― 世界規模のシステム統合ともなると、相当苦労をされたのではないですか

 今から20年以上前、私が北米にいた頃に担当したプロジェクトですが、会議ひとつ行うにも国ごとに文化や言語が違うので、本当に大変でした。最初は北米とヨーロッパのみを対象にパッケージをカスタマイズしたシステムを導入したのですが、これが期待通りには機能しなかったこともあり、やはりグローバルで統一したシステムが必要だと仕切り直しました。グローバルシステムの構築においては、最初のパッケージのカスタマイズを経験したITメンバーが各国にいたことがプラスになりました。

―― 開発はどのような体制で進めたのですか

 日本、北米、上海のシステム開発部隊と、日本、北米、ロンドン、シンガポールのビジネスアナリシス部門が協調し、全世界共通で使えるコンテナ船のシステムをスクラッチで開発しました。若干時間はかかりましたが、個々のIT担当が優秀だったので、私は楽をさせてもらいました。開発後はこれを運用する組織が必要になりましたが、その部分もそれぞれの営業部門と現地法人が連携を取りながら進めてくれたので、開発から運用まで比較的スムーズに進んだプロジェクトと言えますね。

―― 現場からシステム変更に対する反発はなかったのですか

 これまで現場から反発が起きたことはありません。一般的な会社では、業務部門からシステム化の要望が情報システム部に上がってくると言いますよね。そこが当社の場合は違います。我々は、そういう要望があった場合、データを抽出して使えるソフトを提供するから「自分たちでつくってください」と逆に業務部門へ依頼します。もちろん、採算や予算などコア業務に関わる部分は我々がつくりますが、デイリーのデータチェックやチームごとの作業効率化などのシステムは各部に任せています。日頃からそういう進め方をしているので、当社の社員はAccessやExcelに関して相当なスキルを持っています。

―― ユニークですが的を得たやり方ですね。それが御社のITに関する基本方針ですか… 続きを読む… 続きを読む

続きを読むには会員登録が必要です

河野 修三(かわの しゅうぞう)
1959年、兵庫県出身。1981年、川崎汽船入社。1991年“K”Line America,Inc.へ出向、帰国後、経理グループ、情報システムグループ長を経て2014年4月よりケイラインビジネスシステムズ代表取締役社長を兼任、同年8月川崎汽船執行役員CIO就任
◎情報収集方法
雑誌などで気になる記事があればベンダーに声をかけて情報を収集する
◎コミュニケーション方法
月1回開催される各部門のチーム長、部長クラスが集まる情報システム委員会で意見交換
◎ストレス解消法
なし

川崎汽船株式会社について
■ 事業内容 海上運送業、陸上運送業、航空運送業、陸海空通し運送業、港湾運送業等
■ 設立年月 1919年4月5日
■ 本社所在地 東京都千代田区内幸町2丁目1番1号
■ 資本金 754億5,764万円
■ 従業員数 680名 (陸員503名、海員177名)
■ 業種 海運業
■ ホームページ

http://www.kline.co.jp/

閲覧ランキング

資産の可視化はキャッシュレス時代のキラーアプリ

1

資産の可視化はキャッシュレス時代のキラーアプリ

マネーツリー株式会社

CROWDとAIでスポーツの未来を変えるインフォノイド

2

CROWDとAIでスポーツの未来を変えるインフォノイド

株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド

個人に裁量を与える「自由主義」で事業成長を加速

4

個人に裁量を与える「自由主義」で事業成長を加速

株式会社ニューズピックス

データドリブンで保険ビジネスに新たな価値を創出

5

データドリブンで保険ビジネスに新たな価値を創出

メットライフ生命保険株式会社

SHARE

あなたへのおすすめ

固定電話の鎖を切ったANAの最先端音声基盤とは

2014.09.26

事例に見る「働き方改革」を加速させるIT基盤

固定電話の鎖を切ったANAの最先端音声基盤とは

閲覧ランキング

資産の可視化はキャッシュレス時代のキラーアプリ

1

資産の可視化はキャッシュレス時代のキラーアプリ

マネーツリー株式会社

CROWDとAIでスポーツの未来を変えるインフォノイド

2

CROWDとAIでスポーツの未来を変えるインフォノイド

株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド

個人に裁量を与える「自由主義」で事業成長を加速

4

個人に裁量を与える「自由主義」で事業成長を加速

株式会社ニューズピックス

データドリブンで保険ビジネスに新たな価値を創出

5

データドリブンで保険ビジネスに新たな価値を創出

メットライフ生命保険株式会社