Bizコンパス

IT戦略を語る
2015.07.16

ゲーム感覚のツールで顧客対応力と戦略立案力アップ

東急リバブル株式会社 経営管理本部 IT推進部長 島村 誠一 氏

 iPadを巧みに利用したツールを用いて顧客対応力を高め、データの収集・活用を推進する東急リバブル株式会社のIT戦略を、IT推進部長の島村誠一氏が語る。

 

ITを活用した営業力強化でナンバーワンを目指す

―― 御社の事業概要についてご紹介をお願いします

 当社は、売買仲介業を基盤として賃貸仲介業、新築販売受託業、不動産ソリューション事業、不動産販売業などを多角的に展開する総合不動産流通企業です。現在、当社では「ナンバーワン戦略」を掲げ、「お客さま評価」、「生産性」、「働きやすさ」という3つの指標で業界のナンバーワンになることを目指しています。これを実現する具体的な施策として出店拡大、人材の採用・育成、ブランド戦略の推進、グローバル化を推進しています。

―― ナンバーワンになるためのIT活用法を教えてください

 ナンバーワンが目標ということは、現時点ではナンバーワンではないわけです。業界には我々より規模の大きい競合さんがいますから、彼らに勝つには同じことをやっていてはダメです。必要になるのは、営業力の強化と商品やサービスの差別化です。

 今、不動産営業はお客さまの問い合わせの約6割がインターネット経由です。ですから、営業力強化は、ここから始めることが重要です。よくショッピングをしている時に、人は商品を買う瞬間に最も気持ちが高まるといわれます。同様にインターネットで不動産検索する場合、問い合わせボタンを押す瞬間が最も気持ちが高まると考えられます。その頂点からできる限り時間をおかず、お客さまへコンタクトすることが、不動産営業ではKSF(Key Success Factor)になります。

 インターネットの問い合わせにできるかぎり早く反応する、それが第一の強化ポイントです。ところが、従来の業務スタイルでは実現が困難でした。営業担当者は外出先ではメール確認ができず、帰社後に対応していましたから、お客さまへの返信が遅くなっていたのです。しかも、帰社が遅い場合は翌日、さらに平日定休ですので暦によってはさらにレスポンスが遅れていました。この状況を改善するため営業担当者全員にiPadとiPhoneを配布しました。

 

ゲーム感覚で楽しみながら顧客の情報を漏れなくキャッチ

―― 顧客とのコンタクトに関するお話を伺いましたが、その先の商談や契約の段階でもiPadやiPhoneを利用しているのですか

 不動産のご購入や売却、あるいは買い替えというのは、初めて経験するお客さまが多く、わからないことがたくさんあるものです。営業の仕事というのは、お客さま一人ひとりに寄り添い、そうした課題を丁寧に解決していくことにあります。ただ、課題解決と言葉で簡単に言いますが、実際にはお客さまごとに物件は異なりますし、膨大な資料も必要ですから、営業には相応のスキルや知識が求められます。

 経験の浅い担当者ですと、その場で答えられないこともあります。どれだけファーストコンタクトを早くしても、これではお客さまの信頼を得られません。iPadは、このような課題のソリューションにもなると考えています。たとえば、業務マニュアルからパンフレットなどさまざまな情報をiPadに取り込んでおけば、お客さまからどのような質問をいただいても、その場で回答できます。

―― 商談の際は、どのようにiPadを使っていますか

 弊社では昨年、iPadを使ったお客さまカードシステム「ファンケート」を導入しました。遊び心を取り入れ、ゲームを楽しむような感覚でお客さまからヒアリングができるiPad用アプリです。たとえば、「検討からどのくらい経ちましたか」という質問に対し、画面上にはヒヨコから徐々にニワトリへ育っていくイラストが表示され、それを選択する形でアンケートを進められます。同様に、「住み替えは、どのくらい先ですか」、「なぜ住み替えを考えたのですか」など、画面をタップしていただくだけで会話を進められます。

―― これを使えば楽しく接客を行いながら、必要な情報を漏れなく把握できますね

 接客時の会話が弾み、聞き忘れを防ぐことができます。また、裏側でSalesforceと連携しているので自動的に情報を格納できます。打ち合わせの内容や希望条件を、その場でお客さまにメールをお送りしてご確認いただけるので、一旦席を離れてコピーを準備する必要もなくなります。

 もうひとつのメリットは、社内全体でお客さまの情報を共有できることです。「ファンケート」には、お客さまからの要望や質問をメモする機能があり、たとえば「コンビニや病院など周辺の施設を教えてほしい」と記載しておけば、担当者以外の社員が電話に出ても情報を参照して「周辺施設の情報でございますね」と適切な対応ができます。このような組織対応力の強化がお客さまの安心や信頼につながると考えています。

 

顧客対応力アップと経営戦略立案支援の一石二鳥

―― 非常によくできた仕組みですね。開発のきっかけは、営業現場からの要望ですか、それとも経営戦略的な観点からですか… 続きを読む… 続きを読む

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島村 誠一(しまむら せいいち)
1964年、神奈川県出身。1988年、百貨店に入社し外商を担当。その後、IT企業を経て2001年に東急リバブル入社、2013年より現職
◎情報収集方法
日経新聞、オンラインメディア、セミナーへの参加、取引先やパートナーからの情報収集
◎コミュニケーション方法
怖い顔をしない。声をかけやすいように笑顔でいること
◎ストレス解消法
地域のアマチュアのオーケストラに参加(フレンチホルン担当)

東急リバブル株式会社について
■ 事業内容 不動産仲介業(売買仲介および賃貸仲介)、新築販売受託業(新築マンション・建売等の販売代理)、不動産販売業(新築マンションの分譲・リノベーション事業等)
■ 設立年月 1972年3月
■ 本社所在地 東京都渋谷区道玄坂1丁目9番5号
■ 資本金 13億9,630万円
■ 従業員数 2,799名(連結2,886名)(2015年3月末現在)
■ 業種 不動産業
■ ホームページ

http://www.livable.co.jp/

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