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IT戦略を語る
2015.05.21

時間の無駄なので設計書や要件定義書はつくらない

株式会社良品計画 常務取締役 兼 執行役員 小森 孝 氏

 ITを主語にしてはならない。IT部門は技術志向に陥ってはならないなどの理念を持つ常務取締役の小森孝氏が、無印良品で世界を席巻する株式会社良品計画のIT戦略を語る。

 

無印良品のコンセプトを禅問答のように考え続けている

―― 御社の事業概要と強みを教えてください

 無印良品は、大量消費文化へのアンチテーゼとして1980年に誕生したブランドです。流通やメーカーの立場ではなく、生活者の視点に立ち、生活の基本となる本当に必要なものを、本当に必要なかたちでつくることこだわってきました。そのコンセプトは誕生から35年経った今もまったく色褪せていません。私たちの強みは、今もこの無印良品というコンセプトを禅問答のように考え続けていることにあります。単品の商品だけならば他社でも似たようなものをつくれるかもしれませんが、このコンセプトや全体観まで真似ることはできません。それが最大の強みです。

―― 多くの商品は、消費者の声に応えているうちに機能が追加され肥大化していきますが、無印良品は常にシンプルですよね

 私たちもお客さまからのご意見や要望には十分耳を傾けていますが、単純に意見を取り入れることが、社会や生産者まで含めたすべての点で本当に良いことなのか、そこまで考えて商品をつくり込んでいます。通常のマーケティングは、お客さまのニーズ、もしくは競合にどう勝つかが発想の原点ですから、その部分はだいぶ違うかもしれませんね。

―― そのコンセプトを支えるためにITをどう活用しているのか教えてください

 その前に前提となるお話をさせてください。まず、当社の社員は、会社というより無印良品のコンセプトに共感して集まってきた人ばかりだということです。それゆえに社員の気質や風土、仕事のやり方も無印良品のコンセプトに影響されている部分が少なくありません。

 

ITを主語にしてはいけない

―― 本当に必要なITはどうあるべきかを考えるという意味ですか

 私自身「ITはどうあるべきか論」みたいなものを持っていません。ただ、経営や事業あってのITですから、ITを主語にするのは良くないと考えています。ITを主語にすると、どうしても事業から離れやすいからです。

 シンプルに考えれば、会社は競争力を高めることが絶対的な目標ですから、主語は「競争力」にした方がわかりやすいわけです。そうすることで競争力を高めるために業務や事業をどう改善すればいいのか見えてくるし、それに対してITをどう使うのかを考えることができます。この順番で考えていくことが重要です。また、競争力を高めるには差別化が必要ですから、自社の強みとかオリジナリティを強化するためにITをどう組み合わせるのかを考えることも必要です。

―― ITは主語にせずとも、事業と一体化しているので使わないわけにはいきませんよね。どうすれば競争力を引き出せるシステムを開発できるのか、教えてください

 他社の話を聞くと、IT部門自身が「ITで何をやるか」を考えていることが多いと感じます。当社には、それをほぼ自動的に決める仕組みがあります。それは… 続きを読む… 続きを読む

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小森 孝(こもり たかし)
1963年、東京都出身。1985年岡村製作所入社、1995年カストロールに転職。1997年良品計画入社。流通推進部を経て2005年から情報システム担当部長。2011年より現職。
◎情報収集方法
Web系のニュース。大切なのは他社、異業種との情報交換
◎コミュニケーション方法
社内は仕組みができあがっているので、特にコミュニケーションを意識することはない
◎ストレス解消法
引退する日を楽しみにする

株式会社良品計画について
■ 事業内容 「無印良品」を中心とした専門店事業の運営/商品企画/開発/製造/卸しおよび販売
■ 設立年月 1989年6月(登記上1979年5月)
■ 本社所在地 東京都豊島区東池袋4-26-3
■ 資本金 67億6,625万円
■ 従業員数 6,160名(パートタイム社員4,620名を含む/2015年2月期)
■ 業種 製造小売業
■ ホームページ

http://ryohin-keikaku.jp/

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