Bizコンパス

IT戦略を語る
2015.05.07

IoTを活用し、管理コストを削減し地域の安全を守る

株式会社ウォーターエージェンシー 品質保証本部 副本部長 奥村 賢治 氏

 上下水道の運営管理を担うウォーターエージェンシー。全国にわたる受託施設をネットワークでつなぎ、効率化や浸水対策にデータを活用する同社のIT戦略を品質保証本部の奥村賢治氏が語る。

 

データの集中管理により水の安心・安全を支える

―― 御社の事業概要についてご紹介をお願いします

 当社は、1957年の設立以来半世紀以上にわたり全国の上下水道施設の運転管理を受託し、施設の安全・安定運転に取り組んできました。また、近年では、上下水道の普及率向上とともに、運転管理における効率化が求められているため、ITを活用して安定的な運転と効率化の両立を目指しています。

―― 上下水道施設のどの部分でITを活用しているのですか

 当社が運転管理業務等を受託している全国の上下水道施設にモニタリングシステムを設置し、計測した水量や透明度、pHなどのデータを、ネットワークを通して本社コントロールセンターで集中管理しています。しかし、現在ネットワーク接続されている施設は370カ所程度にとどまっており、すべての施設のデータを収集できているわけではありません。その理由は、通信インフラの整備されていない場所に立地している処理施設が少なくないからです。今後は、LTEなどの無線網も活用し、全施設の情報を収集できるようにしたいと考えています。

―― 下水の水量が増えたとき、本社から各下水道施設をコントロールして水位を変えているのですか

 本社から直接指示を出すこともありますが、基本的には各下水道施設の管理部門が設備を運用しています。本社では、各施設に的確な指示を出すための情報を収集しています。たとえば、下水に含まれる浮遊物質の量は1リットル当たり40ミリグラム以下という基準値が設定されていますので、それが守られているかなどを逐次モニタリングしています。

―― 設備の運用を各施設で行っているのでしたら、本社でのモニタリングはリアルタイムではなくても良い気がしますが、緊急対応が求められる事案も起こるのでしょうか

 施設構造にもよりますが、雨水は下水に流れていきます。ある地域では降水量がそれほど多くなかったとしても、広域で雨が降ると下水管に大量の雨水が流れ込み、下水道施設における処理量が一気に増える危険性があります。そのような事態が発生すると、処理が間に合わず、最悪の場合、下水管が溢れて住民の方々に迷惑をかけてしまう恐れがあります。まして、局所的に大雨が降るゲリラ豪雨の場合、あっという間に水量が増えてしまうので、1分1秒の単位で適切な対応が求められます。

 そのような緊急事態に対処するには、常に広域的なモニタリングを行い、変化に合わせた迅速な対応が不可欠です。しかも、それぞれ地形が違いますし、水の増え方も異なるので、気象情報を睨みながら、各地の変化をリアルタイムで捉え、俯瞰的な視点で全体をコントロールする必要があるのです。

 

IoTを活用し、24時間体制で住民の生活を守る

―― 御社のビジネスは、水道をひねればいつでも水が出る環境の管理だけではなく、命にかかわる大事な役割も担っているのですね

 そうですね。24時間体制で安心・安全な水の管理を行うことが、当社の使命といえます。

―― ITの利活用において、今後改善すべきだと考えている課題を教えてください

 現在、現場の状況把握には、電話や写真を使っていますが、詳細な状況がわかりにくいので、今後は動画などを使ったリアルタイムの状況確認ができる環境を構築しようと考えています。具体的には、ウェアラブルカメラやスマートフォンなど、動画撮影用のカメラを搭載したツールの導入を検討しています。

―― ネットワークには無線を活用するのですか… 続きを読む… 続きを読む

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奥村 賢治(おくむら けんじ)
1958年熊本県出身。1984年、半導体設計会社に入社、品質管理やITを担当。2014年7月にウォーターエージェンシー入社、以降現職
◎情報収集方法
日経BPが発行している雑誌、Webメディア、ベンダー系のセミナーへの参加
◎コミュニケーション方法
常に同じ目線に立ち、本人に気付かせ自発的に動いてもらう
◎ストレス解消法
毎朝のウォーキング

株式会社ウォーターエージェンシーについて
■ 事業内容 水マネジメント、水オペレーションシステムの設計・開発等
■ 設立年月 1957年5月(創立1953年6月)
■ 本社所在地 東京都新宿区東五軒町3-25
■ 資本金 2億円
■ 従業員数 3,200名
■ 業種 サービス業
■ ホームページ

http://www.water-agency.com/

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