Bizコンパス

IT戦略を語る
2015.04.02

セキュアなリモートアクセスで新薬上市を加速

EPSホールディングス株式会社 第一事業推進グループ IT室室長 河野 覚 氏

 製薬や医療機器開発に欠かせない臨床試験を支援する国内No.1アウトソーサーのEPSホールディングス、IT室長の河野覚氏が成長産業の今と未来を語る。

 

医薬品や医療機器の進化を支える国内No.1の臨床開発アウトソーサー

―― 御社の事業概要についてご紹介をお願いします

 製薬メーカーさまが新薬を世に出す際、必ず必要となる臨床試験を支援するアウトソーシングサービスが我々の主たる事業です。2015年1月1日にホールディングス体制へ移行しましたが、各グループのビジネスはいくつかのカテゴリに分けられます。メインとなるのは、製薬メーカーさまの立場で臨床試験の企画から医療機関に対するモニタリングとデータ管理、統計処理、薬事申請、製造販売後の調査までを行うCROです。一方、医療機関さまの立場で必要な検査やデータ収集、院内コーディネートを行うのがSMO。また、販売促進のためにMRなどの専門職の人材を派遣したり、新薬販売後の問い合わせの受け皿となるコールセンター等を手掛けるのがCSOです。

 また海外の臨床試験をサポートするGR(グローバルリサーチ)事業。中国や山梨にデータセンターをおき、医療関連データサービスを行うBPO事業、そして中国において医療機器販売代理やヘルスケア分野への投資などを行っている益新事業と各セグメントわかれ事業を展開しています。EPSグループはこの6つの事業を中心に、医薬・医療、ヘルスケア業界に向けたさまざまなサービスを国内のみならず、中国を中心とする海外において提供しています。

―― 臨床試験がアウトソースされるようになった背景には、IT化やデータ量増大などの環境変化があったのでしょうか

 以前は、製薬メーカーさまが内部に臨床開発の機能を持っていましたが、欧米では1980年代から、日本ではイーピーエスが設立された1991年頃からアウトソーシングが認知されてきました。

 確かに扱うデータ量は膨大ですが、それよりもデータの客観性や信頼性が求められるようになったことが背景にあります。恣意的でなく、薬の効果を客観的に評価するには、誰が何度やっても同じ結果が出なければならず、その信頼性を担保するためにITは欠かせない存在です。

―― 事業におけるITの重要性について教えてください

 最も重要なことは、先ほどお話した通り、何度やっても、誰が操作しても同じ結果を得られることです。

 臨床試験データの客観性、正確性を担保するには、承認申請に向けたデータ処理の業務プロセスと、そこで使用されるシステムと、両面からの考慮が必要となります。私が入社した1996年当時、社内の専門部隊は10名ほどでしたが、その後、米国の法規制を受けてコンピュータシステム・バリデーション(CSV)が義務付けられ、システムの重要性が認識されるようになりました。CSVは、医薬品や医療機器などの開発や製造過程で使用されるシステムが、正しく開発され導入・運用されていることを示し、その証拠を残すことで薬や医療機器の品質を保証するものです。我々は、常にシステムのテストとドキュメント化を行うことで、信頼性を担保しています。

 

最新の技術やメソッドより、いかにデータの信頼性を担保するかが重要

―― 一般的な企業が扱うITと、臨床試験を支援するITは、違う部分があるのでしょうか

 もちろん使っている要素や技術は、共通部分も多くありますが、重視するポイントが多少異なります。一般の企業は、SNSやモバイルなどの新しい技術をどんどん使って利便性を高めようとしますが、我々はそれよりも結果の正しさ、データの信頼性に重きを置いているので、その部分が違うと思います。

―― データの信頼性を高めるためにどんな工夫をしていますか… 続きを読む… 続きを読む

続きを読むには会員登録が必要です

河野 覚(こうの さとる)
1965年長野県出身。1988年、独立系ソフトウェア会社に入社。1996年、EPS入社。受託プロジェクトのシステム開発等を経て2006年にグループのIT会社イートライアルへ異動、2010年に代表取締役就任。2015年1月よりEPSホールディングス IT室長を兼任。
◎情報収集方法
日経の雑誌やWebサイト。IT系同業者と個人的な酒席で情報収集
◎コミュニケーション方法
なるべく社内をフラフラ歩く、飲み会
◎ストレス解消法
(最近始めた夜の)ジョギング、読書

EPSホールディングス株式会社について
■ 事業内容 国内外の医薬品・医療機器開発を支援するCRO、SMO、CSOなどのアウトソーシングサービス事業
■ 設立年月 1991年5月
■ 本社所在地 東京都新宿区津久戸町1番8号 神楽坂AKビル6階
■ 資本金 18億7,525万円(2014年9月末現在)
■ 従業員数 4,148名(グループ総計 ※2014年9月末現在)
■ 業種 サービス業
■ ホームページ

http://www.eps-holdings.co.jp/

SHARE

関連記事

Criteoのアジア進出の基盤となったITインフラとは

2016.07.22

アドテク先端企業の事業拡大を支えるインフラを構築

Criteoのアジア進出の基盤となったITインフラとは

閲覧ランキング