目薬、胃腸薬、外皮用薬などのヘルスケア関連商品で市場をリードするロート製薬。同社が構築した自社にふさわしいIT-BCP環境について情報システム部 部長の古川尚良氏に伺った。

 

考慮しうるさまざまな災害リスクを想定し、身の丈にあったIT-BCP対策を立案

―― 御社の概要と業界における強みを教えてください

 弊社は創業1899年、今年115周年を迎える会社です。「胃活」という胃薬から事業をスタートし、10年後に目薬を発売、さらにメンソレータムの商標使用権を取得してスキンケア事業へ進出しました。近年、この三本柱に加えまして新規事業や海外展開を進めています。ヘルスケアのリーディングカンパニーとして健康に結びつくものは積極的に取り込むという方針を立て、現在、食・アグリ事業や再生医療などの新たな分野に進出。海外については、東南アジアの新興国を中心に、製品販売だけではなく、地域の健康や文化の創生に貢献する事業展開を目指しています。

―― 本日は、IT-BCPの取り組みについてお伺いしますが、まず経緯からお聞かせください

 2011年3月11日に発生した東日本大震災が、IT-BCPを検討する契機になりました。BCPは、震災前から検討していましたが、すぐ実行しなければならないと考えたのは震災後でした。

―― 御社の拠点にも直接的な被害があったのですか

 直接的な被災はなかったので、計画の立案に当たり、まず被災された企業の方々へのヒアリングやセミナーを通じて情報収集することから始めました。生の声を聞きますと、雑誌や新聞ではわからない情報が多く大変参考になりました。データセンターの建物は倒壊していないものの、スプリンクラーの誤動作で水浸しになったり、強い揺れでハードディスクが損傷を受けたり、想定外の事態がかなり起きたようです。こうした情報収集を通じて、データセンターも完璧ではないと考えるようになりました。

―― BCPの計画に当たり、どの範囲のリスクまでを検討対象にしましたか

 リスク要因として挙げたのは、震災、火災、パンデミックです。しかし、3つの対策を同時に進めることは大変ですから、震災対応を優先することにしました。震災対応ができれば、火災対応もパンデミック対応も包含できると考えたからです。

 2011年当時、当社は大阪市生野区の本社に自社データセンターを構え、約100台のサーバを稼働させていました。それに加えて三重県の工場と物流センター、京都の研究所、東京支社、全国の大都市に営業所を構えており、各拠点を合わせて約50台のサーバを設置していました。西日本では以前から、30年以内に東南海地震、南海地震、上町断層地震が80%の確率で起きると言われており、事業継続に大きな影響が出ることが考えられました。

―― 具体的な被害想定や事業リスクの検討内容はありますか

 想定される被害は、大きく分けて3つ。… 続きを読む

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古川 尚良(ふるかわ ひさよし)
1951年徳島県出身。1998年9月にヘキスト.マリオン.ルセル株式会社(現、サノフィ株式会社)から、ロート製薬株式会社入社、情報システム部AP開発運用グループ長を経て2001年9月より現職。 
◎情報収集方法
・セミナーや雑誌、新聞、WEB、メルマガ、書籍等の媒体
・医薬品業界や異業種、ユーザ会等の会議や懇親会での情報交換
◎コミュニケーション方法
人の話の腰を折らず最後まで耳を傾けて、いったん受け入れること。
◎ストレス解消法
週末の家庭菜園での農作業や海釣りで体を動かすこと。

ロート製薬株式会社について
■ 事業内容医薬品・化粧品・機能性食品等の製造販売
■ 設立年月1949年(昭和24年)9月15日
■ 本社所在地大阪市生野区巽西1-8-1
■ 資本金6,411百万円(2014年3月末現在)
■ 従業員数1,498名 <単体> 5,845名 <連結>(2014年3月末現在)
■ 業種医薬品
■ ホームページ

http://www.rohto.co.jp/

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