dlicon

出版社:岩波書店、発行:2018/10、定価:1,800円(税別)

著者:倉都 康行
RPテック代表取締役、産業技術大学院大学グローバル資本システム研究所長、産業ファンド投資法人執行役員、国際経済研究所シニアフェロー。1955年生まれ。東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンで国際資本市場業務に携わった後、バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て現職。日本金融学会会員。

目次

    序.危機の残滓リーマン・ショックから10年
    1.放置された資本システム・リスク
    2.中国は世界経済の勝者になれるか
    3.不完全通貨「ユーロ」
    4.安定性を失う米国
    5.日本の歪んだ資本システム
    6.世界資本システムの危機

ダイジェスト

「資本システム」の歪みがもたらす世界経済の危機を論じる

 世界を震撼させたリーマン・ショックから10年余りになる。現在に至るまでの各国政府による金融政策などにより、世界経済は安定を取り戻したかにも見える。だが一方で、世界には現在進行形で安定を脅かすさまざまな撹乱材料があり、資本市場のシステム自体に歪みが生じているのも確かなようだ。

 本書で著者は、「資金を資本化する」という資本市場を健全に動かすダイナミズムを「資本システム」と名づける。そしてその観点から、債務超過、通貨の不安定性、保護主義貿易、地政学リスクなど、今の世界経済に埋め込まれた時限爆弾ともいえる負の要因を指摘。それらがどのように資本システムを歪ませているのか、詳細かつ冷静に分析を加えている。

 世界経済を論じる際に使われるのは、資本システムではなく「金融システム」という表現が一般的だ。しかし著者は、金融システムだけを見ていては、本質的な「危機」を見誤ると考えているようだ。

 

血流がスムーズでも、心臓に不具合があれば健康とは言えない

 著者は、資本システムの重要性を強調するのに、人体の循環器系の例えを使っている。金融は人体でいえば血流にあたり、それがスムーズであれば経済は健全だ、という例えはよく使われる。

 だが、循環器系の要は… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。