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出版社:文藝春秋 発行:2018/08、定価:2,200円(税別)

著者:ジェレミー・ベイレンソン
スタンフォード大学教授(心理学、コミュニケーション学)。同大学でバーチャル・ヒューマン・インタラクション研究所を設立し、所長に就任。ノースウェスタン大学で認知心理学の博士課程を修了。心理学者としてキャリアをスタートし、人々のコミュニケーションについて研究する中で、VRが人の心理や行動に大きな影響を与える、従来にない全く異質なメディアであることに注目する。この分野を長年研究するVR心理学の第一人者。
訳者:倉田 幸信

目次

    序.なぜフェイスブックはVRに賭けたのか?
    1.一流はバーチャル空間で練習する
    2.その没入感は脳を変える
    3.人類は初めて新たな身体を手に入れる
    4.消費活動の中心は仮想世界へ
    5.2000人のPTSD患者を救ったVRソフト
    6.医療の現場が注目する″痛みからの解放″
    7.アバターは人間関係をいかに変えるか?
    8.映画とゲームを融合した新世代のエンタテイメント
    9.バーチャル教室で子供は学ぶ
    10.優れたVRコンテンツの三条件

ダイジェスト

人間の脳は仮想体験を実体験と捉える

 インターネット、スマートフォンに続く次のイノベーションは何か。今、シリコンバレーで脚光を浴びる技術の一つがバーチャル・リアリティ(VR)だ。日本語で「仮想現実」と訳されるVRは、リアル感を売りにする4Kテレビや3D映画とどこが違うのだろうか。それは圧倒的な没入感だ。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)をかぶり仮想空間に入ると、人間の脳はその空間を現実の空間と同様に認識するそうだ。

 本書では、仮想空間で地震が起き、うず高く積まれた木箱が崩れて自分に当たろうとしたとき、血相を変えて逃げ出し現実の壁にぶつかりそうになる事例などを列挙する。VRがもたらすのはテレビや映画の枠内に広がる現実感ではなく、体験としての現実感だ。著者は、VR空間で人間の心理や行動がどのような状態になるかを数多くの心理学実験によって説明しながら、VRが医療や教育の現場、人の消費行動、エンタテイメントの世界を大きく変える可能性を語る。

 

VR体験が人に与える影響は功罪併せ持つ

 本書は、VR体験が仮想でありながら人の態度や行動を変える強い力があると強調している。

 「本当にそこまでの影響力があるのだろうか」という疑問に対し、著者は、… 続きを読む

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