新たなフィンテックが巻き起こす波紋(第1回)

個人が株を発行?話題のサービス「VALU」の仕組み

2017.09.11 Mon連載バックナンバー

 2017年5月にサービスをスタートした「VALU(バリュ)」が今、注目を集めています。

 VALUとは、サイト上で「VA」という“模擬株式”を発行し、公開することで、他のユーザーから資金提供を受けことができるサービスです。簡単にいえば、企業における株式発行を個人でやってしまおう、というものです。

 誰でも簡単に始められる点、個人が手軽に中小企業並みの活動資金を集められる点で話題になる一方で、規制の不備から登録ユーザーによる「売り逃げ」が問題となるなど、混乱も起きています。

 今回はこの「VALU」について、仕組みや注意点について解説していきます。

 

「自分の価値をトレードする」とはどういうことか

 公式サイトによれば、VALUは「自分の価値をトレードできるフィンテックサービス」とされています。開発者は、株式会社VALUの代表取締役でもある小川晃平氏。グリーに入社後、フリーランスの期間を経てVALUを開発、設立しています。

 VALUは、端的に言えば、「個人でも発行できる株式制度」と言うべきもので、登録したユーザーは模擬株式「VA」が発行できるようになります。登録している他のユーザーはこのVAが売買でき、価格は需要と供給によって決められます。取引には仮想通貨であるビットコインを使用します。

 VALUでできることは、大きく分けて2つあります。1つはユーザー登録をして資金を調達すること。もう1つは、登録ユーザーの発行しているVALUを購入し、活動を支援することです。

 たとえば、ある人が「起業したい」と考えたとします。しかし、大きな事業をスタートするには、手持ちの資金が足りず、銀行から多額の融資を受けられるほどの信用力もありません。

 こういったとき、アメリカであればベンチャー企業を積極的に支援する、いわゆる「エンジェル投資家」が存在しますが、日本国内ではあまり多くありません。そんな時の資金集めの手段がVALUです。インターネット上で自身の情報を発信し、スタートしたい事業をPRすることで、VAを買ってもらい、その姿勢に賛同する人から直接資金を援助してもらえるのです。

 つまり、何かに取り組んでいる人物をサポートするための仕組みが、VALUというサービスの本質なのです。

 

クラウドファンディングとの違いは「ユーザー単位」であること

 これまで、銀行などの金融機関に頼らず、個人間で活動資金の出資を募る方法として「クラウドファンディング」が注目されてきました。クラウドファンディングは、登録しているユーザーの立ち上げたい「プロジェクト」に対して、出資を募るというものです。

 一方で、VALUの特徴的なところは、… 続きを読む

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小山田 明人

小山田 明人

株式会社ネクストアド代表取締役

1982年生まれ。神奈川県横浜市出身。「食えるライターを育てる」をビジョンンに掲げライティングチームを結成、ビジネス、ITを中心に様々なコンテンツに記事を寄稿。自身でもスクールキャッチという教育系ポータルサイトを運営する。経営する学習塾では中高一貫校の作文指導に携わる。http://www.nextad.co.jp/

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