超高齢社会のスタンダード(第1回)

先進企業はビジネスを“シニア化”している

2017.09.06 Wed連載バックナンバー

 日本が超高齢社会に突入したのは、総人口に対し高齢者の割合が21%を超えた2007年のこと。昨年2016年には27.3%まで増え、女性にいたっては30%を超えた。高齢者率は今後も上昇し、50年後の2065年には38.4%に達すると予測されている(総務省調査データより)。

 これは言い換えれば、消費者の主役が、ファミリー層や若者からシニア層へ移ったということでもある。こうした“高齢者市場”に対し、BtoC企業ではどのような取り組みをしているのだろうか。

 

高齢者が押しやすいアルミカートが主流に

 消費の主役交代の影響がもっとも早く訪れている業種のひとつが、日常生活を支えているスーパーである。少ない人でも週に一回程度、多い人では毎日のように訪れるからだ。

 当然、スーパーの取り組みは早い。1社がシニア向けのサービスを考案すれば、たちまち業界全体に広がる。たとえば「少量パックの食材や総菜」「年金支給日の割引サービス」「商品の当日配送サービス」などは、すでに当たり前のサービスになりつつある。もちろん、こうした取り組みは、シニア以外の人にも便利だ。

 店内の備品や設備への配慮も進んでいる。大手スーパーの多くは、買い物用カートを軽くて押しやすいアルミ製に切り替えた。マルエツでは、ルーペ付きのカートまで用意している。値札や商品説明などの小さな文字が見づらい人のためだ。

 さらに、エレベータ―の扉の開閉スピードや、エスカレーターの昇降スピードは、従来よりゆっくりになった。多目的トイレも増え、車いすで入れる試着室も珍しくなくなった。イトーヨーカ堂では、具合が悪い時などに押せば近くの販売員がかけつける押しボタン「ふれあい灯」の店内設置をすすめている。加えて、カートから重いカゴを下ろさずに精算できるレジ台も増えている。

 シニアが増えれば、結果的に認知症の人が来店するケースも増えることにつながるため、認知症サポーターの資格取得を奨励しているスーパーも多い。イオンでは6万人以上の従業員が認知症サポーターの資格を持っている

 一方で、「マルエツプチ」(マルエツ)、「まいばすけっと」(イオン)など、面積が小さなミニスーパーを積極的につくる動きもある。従来のスーパーは、大店法(大規模小売店舗立地法)が改正されるたびに巨大化していったこともあり、足腰が弱くなったシニアは広すぎて回れなくなった。シニアマーケットに力を入れ始めたコンビニやドラッグストアに流れた客もいる。そこで、大手スーパーも、シニアが楽に回れる大きさの店舗づくりに力を入れるようになったわけだ。

 

シニア専門のショッピングモールも誕生

 スーパーの“シニア化”の流れはこれだけではない。イオンでは、シニア専門のモールをつくってしまった。… 続きを読む

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竹内三保子

竹内三保子

1983年西武百貨店入社。紳士服飾部、特別顧客チームを経てフリーライターに。その後、編集プロダクション・カデナクリエイトを設立。共著に『図解&事例で学ぶビジネスモデルの教科書』『課長・部長のための労務管理問題解決の基本』などがある。

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