「コスト」の壁をどう乗り越えるか

ニーズがあるのに儲からない、ネットスーパーの矛盾

2017.09.03 Sun連載バックナンバー

 インターネット上で注文を受けた食品や日用品を自宅に配送する「ネットスーパー」は、共働き世帯や高齢者の間で生活に根付きつつあります。大手スーパーのイトーヨーカ堂(セブン&アイ・ホールディングス)、イオン西友(米ウォルマート)をはじめ、地方スーパーも参入し始めています。

 しかしながら、多くのネットスーパーでは、配送費や人件費の負担が大きく、ギリギリの収益を保っているのが実情です。

 小売業の生き残りをかけたネットスーパーが、未来に向けて取り組むべき課題はどこにあるのでしょうか。業界が抱える問題と、それを打開する策について考察します。

 

既にビジネスは頭打ち? ネットスーパー業界の苦しい事情

 日本におけるネットスーパーは、2000年に西友が開始したのが最初でした。当初は実店舗の売り上げの減少を食い止めるために始まりましたが、当時はまだインターネットによる買い物がまだ一般的でなかったこともあり、急激な拡大には至りませんでした。

 やがてインターネット環境やスマートフォンが普及すると、共働き世帯や高齢者などの利用者が増加。さらに、米Amazonが日用品の通販事業を始めたことへの対抗として、多くの小売業がネットスーパーを開設したこともあり、市場規模は一気に拡大しました。矢野経済研究所の調査によると、2015 年度の国内食品通販市場規模は3 兆3,768 億円、前年度比は106.3%となっており、ネットスーパーの市場はさらに拡大するという見通しを立てています。

 しかし、見通しは必ずしも明るいわけではありません。流通業のコンサル会社であるJMR生活総合研究所は、同社が公開している業界への提言論文にて「(ネットスーパーは)ビジネスとしては頭打ちの感が出てきた」と指摘しています。

 この理由として挙げられているのが、配送費や人件費の負担増加です。特に配送費の問題は深刻で、今年はヤマト運輸や佐川急便が料金の値上げを発表しています。収益の確保は、ますます厳しくなることが予想されます。

 

店舗型、センター型が抱えるそれぞれのコスト

 なぜ配送料がネットスーパーのビジネスを大きく左右するかというと、スーパー業界独特の… 続きを読む

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櫻庭由紀子

櫻庭由紀子

株式会社ネクストアド所属ライター。経営者のヒューマンドキュメンタリーや企業の経営戦略、伝統工芸や製造業の職人の取材記事を中心に執筆。その他、江戸時代の時代考証や落語・歌舞伎の伝統芸能についての執筆も行う。

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