新たに始まったセルフメディケーション税制とは

医者にかからず市販薬で治すと、税金が安くなる!?

2017.06.22 Thu連載バックナンバー

ドラッグストアのレシートに付いている「★」マークは何?

 今年1月から始まった「セルフメディケーション税制」という制度をご存知でしょうか。初めて聞く人もいるかもしれませんが、薬局やドラッグストアにも、同制度を告知するポスターが貼られているため、すでに知っているという人も多いでしょう。

 この税制は、薬局で規定の市販薬を12,000円以上購入した場合、年末調整や確定申告の際に、12,000円を超えた部分の金額について、所得控除できるという仕組みです。2017年申告分から適用されます。

 言ってみれば、従来の「医療費控除」を使いやすくしたものです。医療費控除は年間で100,000円以上の医療費支出がないと利用できませんが、セルフメディケーション税制はその控除までのハードルを下げたものになります。

 この税制が適用されるためには条件があります。医師の処方箋による薬ではなく市販薬であること、市販薬の中でも厚生労働省指定のOTC医薬品(処方箋不要で購入できる医薬品。いわゆる大衆薬)であること、病院での診察代や鍼灸院、整骨院での施術は含まれないこと(市販薬の購入代のみが対象)といったものです。また、セルフメディケーション税制と医療費控除との併用はできません。

 「“指定医薬品”と言われても何だかわからない」と思うかもしれませんが、薬局やドラッグストアで対象商品を購入した場合、レシートに「セルフメディケーション税制対象薬品」と表示されます。下の写真は、筆者が買った薬(解熱剤)のレシートですが、このように「★」マークではっきりわかるようになっています。

 製薬メーカーの中には、商品にマークを付けて分かりやすく表示しているところもあります。マークの掲出は任意なので、このマークがなくても、セルフメディケーション税制対象のものもあります。

 
 この「★」がついている薬を年間12,000円以上購入し、レシートや領収書を確定申告の際の書類に提出することで、セルフメディケーション税制が適用されます。

 

医療費を増やさず、自分で病気を治す人へのサービス

 この税制は、要は「病院へ行かず自分で薬局に行って治した人にサービスしてあげる」というものです。

 導入された背景には、日本の医療費の増大があります。厚生労働省によれば、1989年には20兆円だった医療費が、1998年には30兆円を超え、2010年には35兆円を超え、そして2015年には41.5兆円と、30年で医療費が倍になっています。

 病院に行けば、診察代、処方箋料、調剤薬局での薬代、すべてに健康保険料がかかります。風邪気味で何度も病院へ行き、都度数千円保険料の国庫負担がかかるくらいなら、自分で薬局に行き市販薬で治してもらった方が、国も助かるわけです。

 もう少し穿った見方をすると、何かと医療費の抑制について批判されがちな政府や監督官庁が、「医療費削減のための実績」のひとつとして作った側面もあるようです。

 

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松本 謙太郎

松本 謙太郎

フリーライター

1979年、長野県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了後、経済団体に就職。検定試験の企画・運営、中小企業のコンサルティング、経営相談・融資、さらに経済法規、経済政策、税制等の要望書の作成業務を行う。その後、独立開業しフリーライター業と講師業を始める。

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