従業員の休息時間を確保する(第2回)

「勤務間インターバルは顧客に迷惑がかかる」は嘘?

2017.05.31 Wed連載バックナンバー

 退社時間から出社時間まで、一定時間空けることを定めて、従業員の休息時間を強制的に確保しようという「勤務間インターバル」が、過労死防止をはじめとする健康管理の手法の一つとして、関心が高まりつつある。前回の記事では、政府が同制度の導入の支援に取り掛かり始めたことを紹介した。

 一方で、退社時間に応じて出社時間が変わるのであれば、突発的な仕事に対応できなくなるという懸念もある。同制度を導入することで、結果的に顧客に迷惑をかけることになるのでは、と心配する声もあるかもしれない。

 実際のところ、勤務間インターバルを導入することによって、顧客に迷惑をかけずに、業務を進めることは可能なのだろうか? 今回は、実際に勤務間インターバルを導入した企業の事例を紹介する。

 

EU基準の「11時間インターバル」の効果は?

 まずは東証一部上場のシステム会社AGS株式会社。今年の1月からEU(欧州連合)の基準に倣って「11時間の勤務間インターバル」を導入した。

 同社では昨年7月に労務管理、オフィス環境、検診など様々な観点から社員の健康づくりを考える『健康経営宣言』に取組んでいる。「11時間の勤務間インターバル」への取り組みも、その一環という。

 「弊社の始業時間は朝9時なので、11時間のインターバルを確保するためには午後10時までに帰ればいい。深夜残業がつきものの業界ですが、これならできないことはないだろうという意見が多く出ました」と人事部長の渡辺益司氏。

 そこで、実際にできるかどうか、フレックスタイムを導入している部署で5カ月間試験することになった。

 実際に導入すると、10時前に仕事を切り上げている人が多かった。同社では10時を過ぎる残業には申請が必要なためだ。

 だが、「明日の朝までに仕上げなければならない」といった、やむを得ず残業せざるを得ないケースもあった。もちろん、翌日の出社時間を午後2時、3時にずらせば、11時間のインターバルが確保できる。しかし実際は、… 続きを読む

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竹内三保子

竹内三保子

1983年西武百貨店入社。紳士服飾部、特別顧客チームを経てフリーライターに。その後、編集プロダクション・カデナクリエイトを設立。共著に『図解&事例で学ぶビジネスモデルの教科書』『課長・部長のための労務管理問題解決の基本』などがある。

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