従業員の休息時間を確保する(第1回)

長時間労働の是正の切り札?勤務間インターバルとは

2017.05.10 Wed連載バックナンバー

 日本経済は、ある意味、長時間労働を前提に成長してきたようなものかもしれない。企業側はわざわざ人件費をかけなくても、一人当たりの労働力を増やすことができ、従業員側にも時間外手当を所得に織り込めるというメリットがあった。

 しかし、次第にメリットよりもデメリットが目立つようになってきた。中でも深刻なのは、長時間労働がもたらす健康被害だ。疲労が蓄積されれば生産性は下がるし、疲労で集中力が落ちれば事故につながる可能性が高くなる。最悪、過労死や自殺を引き起こすこともある。

 このようなリスクにつながりかねない長時間労働是正のひとつの手段として、最近、「勤務間インターバル」制度が注目を集めている。

 

夜中12時に退勤したら、翌日は11時前に出勤してはいけない

 勤務間インターバル制度とは、退勤してから出勤するまで、一定時間空けることを定める制度だ。

 たとえばA社で、一定時間を「11時間」と定めたとしよう。この場合、従業員は退勤してから11時間は出勤できない、ということになる。仮に従業員のBさんが夜中の12時まで残業すれば、11時間後は翌日の朝11時になる。A社の始業時間が9時だとしても、前日12時まで働いたBさんは11時よりも前に出勤してはいけない。2時間出勤時間を繰り下げるわけだ。

 勤務間インターバル制度は、このように退勤時間から出勤時間まで、強制的に一定時間を空けることによって、従業員の休息時間を確保することを狙っている。

 すでにEU(欧州連合)では20年以上前から導入されており、EUでは連続11時間の休息が企業が守るべき最低基準として定められている。日本でも、EUの制度を参考に、企業に対して勤務間インターバルの導入を要求する労働組合もある。

 

企業は勤務間インターバルどころか、過労死にも興味がない

 勤務間インターバル制度が普及すれば、睡眠時間が極端に削られるといった状況を防止できる。つまり、企業側にとっても、企業イメージを著しく損ねる従業員の過労死や自殺が抑止できるのである。

 だが、勤務間インターバル制度導入に関する企業の意欲は低い。同制度を導入している企業は、… 続きを読む

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竹内三保子

竹内三保子

1983年西武百貨店入社。紳士服飾部、特別顧客チームを経てフリーライターに。その後、編集プロダクション・カデナクリエイトを設立。共著に『図解&事例で学ぶビジネスモデルの教科書』『課長・部長のための労務管理問題解決の基本』などがある。

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