「自由化」を支えるルールとは

電気・ガス料金の「セット割」は独占禁止法違反?

2017.04.10 Mon連載バックナンバー

 2016年4月の電力自由化に続き、今年4月からはガス小売が自由化されました。電力・ガス小売の市場規模は10兆円以上と推計されています。これにより、これまで一部企業だけに閉ざされていた巨大市場が開放された形となります。

 さらに、ガス自由化に先立って、市場でのフェアな競争を担保していくための指針も策定されました。これにより、業界大手企業がライバル企業の顧客を奪うために「セット割」などの値引きキャンペーンを仕掛けるといったことが、独占禁止法に違反するケースもあります。

 「フェアな競争」を妨げるうえでNGとなる行為とは何なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

 

新規参入が可能になった電力・ガス小売市場

 2017年3月末時点で、電力小売は389事業者、ガス小売は45事業者が登録されており、電力・ガス小売市場への新規参入が相次いでいます。

 一方で、新規参入勢が既存企業からシェアを奪っていくためには、単に市場のドアが空いたというだけでは不十分で、消費者側で自由に電気・ガスの購入先を選択できる環境が名実ともに担保されていることが必要です。

 たとえば消費者側が、電気・ガスの購入先を変更したいと考えたとき、既存企業が素直に契約解除に応じてくれるのか、ガスの卸会社は小売大手の系列企業だが、ライバルとなる自社と取引をしてくれるのかといった懸念点が業界で指摘されています。このような懸念点をひとつずつクリアにしていかないと、新規参入企業は、既存企業に太刀打ちすることはできません。

 そこで今年の2月、公正取引委員会は「適正な電力取引についての指針」、「適正なガス取引についての指針」を公表し、電力・ガス小売市場での新たなルールを示しました。両指針は、新規参入企業が販路を開拓していく際のポイントにもなります。

 

顧客の囲い込み行為は独占禁止法違反?

 「適正な電力取引についての指針」、「適正なガス取引についての指針」の両指針は、圧倒的なシェアと強固なネットワークを持つ既存企業が、新規参入勢を市場から排除することがないようにと策定されたものです。独占禁止法上の観点から過度な顧客の囲い込み行為の是非を判断しています。

 たとえば両指針では、消費者側で電気・ガスの購入先を変更したいと意思表示した際、契約解除の拒否や解除手続きを遅らせるような行為をとった場合は、独占禁止法違反となるおそれがあると解釈が示されました。

 また、今年の4月から自由化されたガスについては、自社でも発電が可能な電気と異なり、… 続きを読む

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水野 春市

水野 春市

経済関連の調査活動を行うミハルリサーチの一員。主に地域の伝統産業や企業行動に関するレポートを作成している

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