なぜその分野に?あの企業が「新事業」に進出する理由(第1回)

富士フイルムはなぜ化粧品業界に進出したのか

2017.01.25 Wed連載バックナンバー

 世間に広く知られている企業が、突然「なぜこの分野に進出したのか?」と疑問に思ってしまうような異分野へ進出するケースがよく見られます。しかし、端から見れば意外なように見えるものの、実は従来のビジネスの「強み」や「特徴」を活かしていたりするものです。

 本連載「なぜその分野に?あの企業が『新事業』に進出する理由」では、そうした企業の新事業へのチャレンジを詳しく読み解いていきます。初回は、カメラのフィルムで有名な「富士フイルム株式会社」を取り上げます。

 カメラ業界では、2000年代以降にデジタルカメラが一気に普及しましたが、一方で従来のフィルムカメラのニーズは減り、2010年における総需要は、2000年の1/10以下に減少。写真フィルムや写真関連事業が祖業であり主業であった富士フイルムは、“現像”が無くなるという危機的状況の中で、化粧品業界へ進出します。

 完全異分野の化粧品業界へ進出するという難題に、富士フイルムは、どのように取り組んだのでしょうか。

 

主力製品の市場が急速に縮小……

 富士フイルムは1934年に設立された企業で、当初から写真のフィルムや印画紙といった写真関連製品を製造していました。「お正月を写そう」のテレビCMでも知られています。

 同社の2000年当時の売上は、現像液などの写真関連事業が全体の約54%、写真フィルムが約19%を占めていました。しかしこの頃から、市場にはデジタルカメラが徐々に普及。フィルムや現像液を使わなくても、写真を撮影し、プリントできるようになりました。つまり、同社の製品が売れなくなる状況にありました。

 ここで富士フイルムが生き残りをかけて行ったのが、「技術の棚卸し」です。富士フイルムは2年近くかけて、シーズ(企業が所有する技術)とニーズを整理し、2006年に化粧品分野への進出を発表しました。

 

写真市場と化粧品市場には共通点があった

 富士フイルムが写真市場から化粧品市場へと進出した第一の理由は、そのふたつの市場に技術面の共通点があったことが挙げられます。それが… 続きを読む

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秋田 舞美

秋田 舞美

秋田舞美のマーケ道 代表、マーケティング専門家

千葉商科大学大学院 客員講師、中小企業診断士。過剰な顧客目線を脱却し、企業の個性を尖らせる「コンセプト・マーケティング」を提唱。中小企業の努力を売上に、情熱を富に変えるコンサルティングを行っている。執筆や着物での講演実績多数。HP:http://akita-co.jp/

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