法改正の波に乗り遅れるな!(第3回)

民法改正で顧客は「約款」を読む必要がなくなる?

2017.07.11 Tue連載バックナンバー

 120年ぶりの大改正となる民法が、2017年6月2日付で公布されました。200項目にもおよぶ改正事項の中から、今回は、企業のサービスにも密接に関係する「約款」に関する改正について紹介します。

 現行の民法が生まれたのは、明治29年(1896年)にまでさかのぼります。その頃には約款にもとづいて取引するという商慣習はなく、民法にも規定は盛り込まれていませんでした。今回は、これまで約款が法律上どのように取り扱われ、どのように改正民法に取り込まれたのかを解説していきます。

 

民法改正で新たに登場した「定型約款」

 約款とは、不特定多数の者と取引することを前提として、定型的な項目をあらかじめ定めておくものです。銀行預金の規約やソフトウェア利用時の規約などが約款に該当します。
契約の当事者は、原則として、この約款の条項に従う必要があります。

 約款はこのような形で実務上は利用されているものの、実は民法には約款に関する規定が存在しない状態が続いていました。つまり、「契約の内容」にもかかわらず、「法的根拠はあいまい」という状態が続いていたことになります。

 このような状態を是正すべく、民法改正により約款に関する規定が新たに設けられることになります。法制審議会などで議論を重ねる中で、定型的な項目を定められた約款をすべて「約款」とひとくくりにするのではなく、その中でも特にスタンダードとなるようなものだけが「定型約款」と定められました。

 今後は、このような「定型約款」に該当するものであれば、お互いが内容に合意しているとみなされることになります。逆に、何か特別な条項が入っていて、一般的とはいえないような規約は「定型約款」とはなりません。

 たとえば、WEBサービスの多くはアカウント登録画面に利用規約が表示され、その規約に同意するボタンを押してからスタートします。この場合、利用者が利用規約を熟読し、すべての条項に合意してからボタンを押しているとは想定されません。

 しかし、「読んでいない項目は法律上契約の内容とはならない」となると、かえって面倒な確認手続などが必要となります。こうなると、サービス提供者にとっても、利用者にとっても、利便性があるとはいえません。そのため、不特定多数の者が相手でもスムーズに取引を行えるように、定型約款の内容を、あたかも契約の一部のように扱うことが求められるのです。

 

約款を読んでいなくても「合意」とみなされる

 この民法改正で重要となるポイントは、定型約款に「みなし合意」という効力が認められることです。つまり、… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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