法改正の波に乗り遅れるな!

“120年ぶり”の民法改正で、ITベンダーが窮地に陥る?

2016.12.28 Wed連載バックナンバー

 現在国会では、民法の「債権法」について、“120年ぶり”の大改正を行うべく作業が進められています。この改正により、民法が規定する「契約」に関するルールが大きく変更されることから、ITベンダーにとっては業務の要と言うべき「システム開発契約」についても、大きな影響を受けることになります。

 ここでは、システム開発契約において最も多く採用されている契約形式である「請負契約」の重要な改正点の一つである「契約不適合責任」について解説し、ITベンダーが行うべき対策を見てきます。

 

新しい民法で何が変わるのか?

 冒頭で触れた通り、債権法は現在国会で改正作業が進められており、2017年度に可決されれば、2019年に施行される見通しです。債権法には、企業活動に不可欠な「契約」に関する多くの規定が定められていますが、ITベンダーや顧客が注目すべきは、システム開発契約の大部分を占める「請負契約」「準委任契約」です。これら二つの改正について注目する必要があります。

 そこでまず、法改正による影響が大きく、またシステム開発契約において最も多く採用されている契約形式である「請負契約」の大きな改正点である「契約不適合責任」ついて解説します。

 現行の民法では、632から642条に「請負契約」を規定しますが、ITベンダーと顧客との関係では、「担保責任」に代わって導入される「契約不適合責任」(仕事の目的物が契約の内容に適合しない場合の請負人の責任)と、条文が新設されることになった「報酬請求権」に関する規定が注目すべき改正となります。

 

「契約不適合責任」がITベンダーを窮地に陥らせる?

 特に注目したいのが、「契約不適合責任」です。この変更内容を理解しておかないと、ITベンダーは“窮地”に陥ってしまうかもしれません。

 現行法では、目的物に瑕疵(品質や性能の欠如等)がある場合には、注文者は「目的物の引き渡しから1年以内」であれば、修補や損害賠償の請求ができると規定しています(634条、635条、637条)。システム開発契約の場面に置き換えると、成果物に明確なバグや性能面での重大な不具合が確認された場合、「納品後1年以内」であれば、顧客はITベンダーに対し、「担保責任」としての無償でのバグ修正や損害賠償の請求が認められることになります。

 これに対して、改正案では… 続きを読む

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なかむら いちろう/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

なかむら いちろう/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

情報学博士・ITコンサルタント・テクニカルライター

ITと法律分野の多彩な知識を生かして「情報学」の博士号を取得し、企業や自治体でのコンサルティングや各方面での執筆をこなす。
著書に『「俺の酒が飲めねーか」は犯罪です』(講談社)、『あなたの知らない「ヘン」な法律』(三笠書房)がある。

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