デパートの「いま」と「これから」(第2回)

百貨店が百貨店でなくなる?銀座の”新スタイル”とは

2016.12.26 Mon連載バックナンバー

 2017年、銀座の老舗デパート2店が装いを新たに誕生します。新店舗では、長く親しまれてきた名称やフロア構成と決別するなど、これまでの「百貨店」という業態を見直すようなリニューアルが行われています。

 

松坂屋銀座店跡地に出現、フランスの企業も出資する「GINZA SIX」

 銀座のメインストリートである中央通り沿いに、街区まるごと1ブロックを占める巨大建築が出現しました。2017年4月にオープンする複合施設「GINZA SIX」です。地上13階・地下6階の新施設は、銀座最大となる商業エリア(約4万7,000平方メートル)をメインに、観光案内所や能楽堂なども設置。7階から13階(一部)はオフィスビルとなります。

 この場所の一角では2013年まで、老舗の百貨店「松坂屋銀座店」が営業していました。そのため新施設の権利の一部はJ. フロント リテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店が保有しています。松坂屋はいわば「GINZA SIXオーナーの一員」ということになります。

 しかしながら、店舗としての松坂屋は驚くほど影が薄くなりました。「松坂屋」の屋号は掲げず、しかも直営するのは雑貨関連に絞ったセレクトショップ(約500平方メートル)とアートギャラリーのみ。徹底的に割り切ったプランを発表するにあたり、J. フロント リテイリングの山本良一社長が「銀座では百貨店はやらない」と明言したことも話題になりました。

 GINZA SIX全体の運営は、大丸松坂屋百貨店などのオーナー4社による合弁企業が担当します。この4社には、複合施設を得意とするデベロッパーの森ビル住友商事が含まれますが、気になるのは残る1社。ルイ・ヴィトンなどを擁するフランス・LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループの不動産部門「Lリアルエステート」です。

 

個店を集めた脱・百貨店スタイル

 Lリアルエステートは、ラグジュアリー(高級品)ブランドの世界最大手であるLVMHの財力を基盤に、各国で進出する商業施設への共同出資を行う企業です。同社では、施設内の一等地を押さえてブランドの世界観を前面に打ち出す店舗開発を進めており、国内では2010年、神戸・旧居留地の複合ビル内にヴィトンの旗艦店を設けました。

 GINZA SIXでも、一等地である中央通り沿いの商業ゾーンを獲得したのはラグジュアリーブランドです。LVMHグループはこのゾーンに、5フロアを備えるディオールのほか、セリーヌヴァレンティノフェンディの出店を計画しています。

 銀座初の百貨店である松坂屋銀座店をルーツに持ちながら、百貨店的な店構えから脱するのも早かったのがGINZA SIXといえるでしょう。発表内容を見る限り、デパート的な要素というよりも、個店が軒を連ねる“モール”のようなスタイルを予感させます。競合関係についても、従来の松坂屋銀座店は銀座三越や松屋銀座がライバル的な存在でしたが、GINZA SIXは数寄屋橋交差点前の複合商業施設「東急プラザ銀座」を意識しているように思われます。

 

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大久保 通

大久保 通

フリーライター

地方紙・業界紙での記者経験を経て独立。企業取材、インタビューを中心に幅広く執筆活動を行っている。

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