海外の最新トレンド事情(第1回)

なぜスウェーデンは国を挙げて「5G」を開発するのか

2016.10.03 Mon連載バックナンバー

 2015年3月、スウェーデン政府、有名大学、研究機関と民間企業が結集して次世代モバイル技術「5G」の開発に取り組む「5G for Sweden(スウェーデンのための5G)」という産官学連携プロジェクトを発表した。

 プロジェクトの狙いは、この次世代技術をいち早く取り込みインフラを充実させ、生産効率を上げることだが、同時にスウェーデン企業に新しいビジネスを創出するチャンスを与え、時代を先取りさせることで、国家としての国際競争力を高めようという狙いもあるという。

 

モバイル技術開発に大手自動車産業が参加

 5Gとは現在の4G(第四世代移動通信網標準規格)に続く次世代のモバイル技術だ。5G for Swedenには、スウェーデン政府機関の基金の元、有名大学や研究機関とともに、ボルボ建設機器、サーブ(自動車・バス)、スカニア(トラック)、ボリーデン鉱業、ABB(工業ロボット)、エリクソン(通信機器)、テリア・ソネラ(通信事業)などのスウェーデンを代表する大企業が参画している。

 このプロジェクトが注目に値するのは、メンバーが通信事業産業だけでなく、自動車や鉱業などの多岐の産業に渡っている点だ。その背景にはこの次世代のモバイル技術がスマホやタブレットを超えたところで活躍すると想定された開発や設計が進んでいる事実がある。

 

次世代のモバイル通信技術は産業革命を起こす?

 なぜモバイル技術に他の産業が興味を持っているのか。これは、産業の効率化、デジタル化が進むにつれ、いわゆるInternet of Things(IoT)が想定されてくるからだ。あらゆるモノがデジタル化する。それをインターネットに繋げることで大きな付加価値が生まれる。さらにモノがネットワークに繋がることで今までにできなかった使用用途が色々と見えてくる。これらをうまく利用することで産業を変革することができる、というわけだ。Industrial Internet of Things (IIoT)とも呼ばれている。

 5Gはこういった色々な産業に革命を起こすような用途を見据えて開発されている。

 例を挙げてみよう。たとえば最新技術からは程遠いイメージのある… 続きを読む

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中妻 美奈子

中妻 美奈子

スウェーデン在住ライター

フリーのレポーター、PRコンサルタントを経て、現在はスウェーデンのIT企業で広報を担当中。北欧の美しい街、ストックホルムで、一般にはあまり興味の対象でない通信情報技術関係のテクニカルな情報をメディアに売り込むことに使命を帯び、喜びを感じる日々を送っている。スウェーデン在住15年。ティーンの息子二人と夫の四人家族で冬の寒さにも暗さにもめげずに生活している。著作「監訳 スウェーデン式アイデアブック」(ダイヤモンド社)。共書「値段から世界が見える」(朝日新書)。

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