バブルが弾けた後のリスクに備える

中国人観光客による「爆買い」が終わりつつある理由

2016.08.07 Sun連載バックナンバー

 ショッピングに出かけると、あちらこちらから聞こえてくる中国語の会話の多さから、中国人観光客が相変わらず多いことを肌で感じます。

 ところが、小売業界には危機感が広がっています。それは、中国人観光客による「爆買い」の質に変化が現れているためです。

 日本百貨店協会の調査によれば、全国の百貨店における免税品の総売上高が、2016年の4月が前年同月比で9.3%減、5月が同比16.6%減、6月に至っては同比20.4%減と、連続でマイナスとなっており、失速の気配を見せているのです。

 街で感じる中国人観光客の増加ぶりからは想像できない数字の変化が起きています。いったい、「爆買い」にどのような変化が起きているのでしょうか。

 

訪日中国人は減っていないのになぜ売上が減るのか?

 街で感じる、中国人観光客が増えているという印象は間違っていません。日本政府観光局(JNTO)の統計を見ると、2016年4月の中国人観光客推計人数は51万4,900人で前年同月比26.9%増加、5月は50万7,200人で前年同月比31.0%も増加しています。

 そしてこの増加は免税品購買客数にも反映されており、やはり日本百貨店協会の調査を見ると、5月は前年同期比112.7%の約23万人と増加しています。

 ところが、同調査で1人当たりの購買単価を見ると、約5万7,000円と前年同月比74.0%とかなり落ち込んでいるのです。これは、購買者が増加しているにもかかわらず、1人当たりの購買額が減少したことを示しています。

 同調査を見ると、宝飾品やバッグ、時計などの高額品を含む一般物品売上高が前年同月比70.2%に落ち込む一方で、化粧品や食料品などを含む低額の消耗品売上高が144.7%に上昇していることが見て取れます。

 つまり、「爆買い」の数は増加しているが、購買対象は高額商品から低額商品に変化しているということを示しているのです。

 

リピーターが増えたことで安物買いにシフトしている?

 実際、中国人観光客が訪れる店には変化が起きています。たとえば家電やブランド品の販売店では中国人観光客の来店数が激減したのに対し、化粧品や日用品、食料品などを扱うドラッグストアでは来店数が増加しています。やはり中国人観光客の目当てが、高額商品から低額商品にシフトしているのです。

 この原因の一つは、… 続きを読む

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地蔵 重樹

地蔵 重樹

フリーライター

ニュースサイトやオウンドメディアなどのWebコンテンツや、書籍のライティングを行う。著書に『〈アウトライン記述法〉でA4一枚の文書がサクサクつくれる本』(日本実業出版社)などがある。

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