FinTech(金融技術)の動向を特許情報から読み解く(第2回)

地図アプリと指紋認証で決済、AppleのFintechに迫る

2016.05.26 Thu連載バックナンバー

 前回はiPhoneでお馴染みのApple社が、“道行く人をATMにする”という、これまでになかったFintech(金融技術)の特許を取得したことを紹介しました。

 今回は、同社が開発を進めている、指紋を用いた新たな認証技術に関するFintechを紹介します。

 

なぜジョブズは指先の入力にこだわったのか

 Appleの創始者である故スティーブ・ジョブズ氏は、ユーザー・インターフェスを洗練させたデザイナーでもあります。たとえばiPhoneiPadの操作では、スタイラスペン(ペン型の入力装置)ではなく、指先にこだわりました。指2本を拡げることで画面を拡大したり、指先の移動によってロック解除するような操作です。Appleの指先による操作は、他社のスマートフォンのみならず、コンピュータに逆輸入され、マウスに代わる操作法となりました。

 ジョブズの提案した指先での操作は、コンピュータや携帯端末の使い方を変革してきました。そんな指での操作を好むAppleは、本人認証のための生体情報として、指紋を選びました。

 

次世代iPhoneで指紋認証はどう進化するか

 Appleの指紋ジェスチャーでは、iPhoneなどのユーザがそのタッチパネル(画面)を指先で操作しているうちに、本人認証を終わらせます。つまり、本人認証のための特別の操作をユーザーに求める必要がなくなります。ユーザーにとっては、最も手間のかからない本人認証です。

 本人認証は、決済サービスの品質を決定づける点で、FinTech(金融技術)の重要課題となります。たとえば仮想通貨「ビットコイン」も、自分のビットコインを操作できるのは自分だけ、という本人認証の確保が絶対的に必要になります。

 建物・居室や自動車であれば、物理的な鍵を本人が持ち歩くことで、本人認証をしています。金融機関では、キャッシュカードと4桁の暗証番号という情報で本人認証をしていますが、近年は、指先や手のひらの静脈による本人認証により安全性を高めています。

 iPhoneやiPadでは、タッチパネルではないホームボタンで指紋を読み取る「TouchID」の仕組みが採用されました。Appleの決済サービスであるApple Payでは、このTouchIDによる指紋認証を使っています。

 次世代のiPhoneやiPadで、ホームボタンをなくし、全面がタッチパネルになるモデルも噂されています。そのとき、指紋認証はどうなるでしょうか。実は、Appleはタッチパネルでの指紋認証に関する特許を持っています。また、審査中の特許出願もいくつかあります。日本の特許情報プラットフォーム「J-Plat Pat」にて公開されている情報を元に見ていきましょう。

 

前面ガラス操作で素早く本人認証

 すでに特許として成立している技術は、携帯端末のタッチパネルが指先で操作される際に、… 続きを読む

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鈴木 健治

鈴木 健治

特許事務所ケイバリュエーション 所長 弁理士

経済産業省産構審小委員会の臨時委員、(財)知財研 知的財産の適切な活用のあり方に関する委員会委員などを歴任。著書に「知的財産権と信託」『信託法コンメンタール』(ぎょうせい)、論文に「知材重視経営を支えるツール群に関する一考察(月刊パテント)」などがある。取引先の経営者・担当者にビジネス書の書評をお届けしている。公式サイト:http://kval.jp/

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