爆買い外国人を狙うインバウンド市場

急増する訪日外国人、爆買い誘う国内企業の施策とは

2016.01.18 Mon連載バックナンバー

 日本政府観光局による訪日外客数の動向調査によれば、2014年に日本を訪れた外国人数は約1,341万人にのぼり、計測史上最高の人数を数えた。2015年はその勢いをさらに上回り、11月末時点で1,796万人を超えている。なかでも中国人の訪日が爆発的に増えており、2015年1~11月には464万人を数えた。これは、2014年の240万人を大きく上回る数である。訪日数が増えると同時に、消費額の勢いも上昇する一方だ。

 この外国人観光客の増加に伴い、国内企業では訪日外国人観光客向けのビジネス、「インバウンド・ビジネス」に力を入れ、さまざまな戦術を打ち出している。
 各企業は、どのようなやり方でインバウンド需要に対応しているのか。成功例を紹介しよう。

 

「爆買い」が拡大するインバウンド市場

 2014年における訪日外国人一人あたりの旅行消費額の平均値は15万1,174円、のべ2兆278億円にのぼると推計されている。なかでもアジアからの旅行者の消費額は、年を追うごとに増大。特に、中国人が日本で家電製品や消耗品を大量に購入し、中国国内に持ち帰る「爆買い」は、インバウンド市場に大きな影響を与えている。

 観光庁発表の訪日外国人消費動向調査では、爆買いされる商品として、主に化粧品・香水、電化製品、時計、カメラなどが挙げられている。近年購入が増えているのは、サプリメントや健康食品。特に安価で健康に良く、飲みやすい青汁系が人気で、ドラッグストアでは緑の箱を大量にかごに積む中国人の姿がよく見られるという。

 ちなみに、中国国内では高品質・日本製をうたった“ニセモノ”の商品が販売されていることも少なくないという。日本で購入する“日本製”ならば安心できる、と言って購入していくケースもある。

 これらの爆買いが広まる背景には、まず円高・元安であることがある。さらに、2014年に日本の免税制度が改正され、免税の対象となる商品が電化製品などの一般物品に加え、食品や医薬品、化粧品などの消耗品にも拡大したのも大きいだろう。また、現状の中国の税制では、日本製品を中国で買うよりも日本で買って持ち帰る方が安くなるため、買い物だけを目的に来日する中国人も少なくない。銀座や秋葉原の百貨店、電器店、ドラッグストアなどをバスで巡る、爆買い目的のツアーが開催されるほどだ。

 このほか、外国人旅行者などの非居住者に対して消費税を免除して販売できる免税店(輸出物品販売場)の急増からも、各社が力を入れていることがわかる。観光庁のデータによると、免税店舗の数は2015年4月時点で18,779店。2014年10月と比べて半年で約2倍となる数である。都市圏だけではなく、東北や九州で急増しているのが特徴だ。中国から距離の近い博多へ大型船で何千人もの中国人がやってきて、爆買いを繰り広げるなど、旅費を抑えて買い物するケースも広がっている。

 

インバウンド特化型店舗を設置。マツモトキヨシの拡大戦略

 このように旺盛な外国人観光客からのニーズがある中で、企業はどのような対策を取っているのだろうか。いくつか例を見ていこう

 主要施策のひとつに訪日外国人の顧客獲得を挙げるマツモトキヨシでは、2015年3月、訪日外国人観光客に特化した新業態の有楽町イトシアプラザ店を開設した。さらに、銀座や上野にも続けて特化店を設置し、訪日客の多い観光地を中心に攻勢をかけている。

 同社が訪日外国人に注目されている理由のひとつが、… 続きを読む

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小島 沙穂

小島 沙穂

株式会社Playceに所属。大手電鉄グループ社内報の編集・ライティングを担当する。また、経営者や新規事業担当者をターゲットにした雑誌『事業構想』にて、連載「パイオニアの突破力」を執筆。アスリートに取材を行い、組織作りやセルフマネジメントのコツを聞き出している。http://www.playce.co.jp/

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