新たな「販売」の形を追う(第1回)

老舗菓子企業はなぜテーマパークを建設するのか?

2015.11.13 Fri連載バックナンバー

 老舗お菓子メーカーが手掛ける「お菓子のテーマパーク」では、ただお菓子を販売するだけでなく、企業のイメージアップや地域の活性化、企業哲学を体現するなど、さまざまな役割を担っている。

 今回は、老舗メーカーが運営する「お菓子のテーマパーク」から、それぞれのメーカーがかかげる企業ビジョンや哲学を読み解いていく。

 

注目を集めている、企業が運営する食べ物の「テーマパーク」

 うなぎパイの春華堂(静岡県浜松市)、桔梗信玄餅の桔梗屋(山梨県笛吹市)、最中やバームクーヘンなどで人気があるたねやグループ(滋賀県近江八幡市)。これらの老舗お菓子メーカーに共通するものは何か。

 答えは「テーマパーク」を持っていることだ。

 地域に根ざし、長い歴史を持つこれらの企業は、菓子の製造工程を顧客にも公開しながら、さまざまなエンターテイメント的な要素を取り入れた、「お菓子のテーマパーク」を併設している。それは地域住民だけではなく、遠方からも客を集め、地域活性化に一役買っているのだ。

 ラーメンに絞り込んだ「新横浜ラーメン博物館」、寿司のテーマパーク「清水すしミュージアム」、餃子をテーマとした「ナンジャ餃子スタジアム」など、特定の料理や食べ物のジャンルに特化したテーマパークは全国津々浦々に誕生しているが、冒頭のお菓子のテーマパークは、一企業が運営し、そのブランド力向上に貢献しているのが特徴だ。

 では、人気のお菓子のテーマパークはいかにして生まれ、どのように運営され、どんな効果を発揮しているのか。それぞれの事例を見ていくことにしよう。

 

桔梗信玄餅の桔梗屋が仕掛ける「お菓子と食のテーマパーク」

 1968年に発売されてから約50年。日本のお菓子のロングセラーに名を連ねる「桔梗信玄餅」を手掛ける桔梗屋は、1990年に本社を甲府市の市街地から、郊外の同県一宮町(現、笛吹市)に移転。これを機に、本社敷地内に工場見学ができる施設やアウトレットショップ、飲食施設などを導入。「お菓子と食のテーマパーク」の充実化を図ってきた。

 その人気のほどはすさまじい。開園は午前9時だが、観光シーズンの夏休みに入ると、朝の6時前から開門を待ちわびる車が連なる。観光バスの台数も1日約100台。遠方からも客が大挙してテーマパークを訪れ、生まれる長い長い行列はもはや観光シーズンの恒例行事となった。

 同テーマパークの魅力はいくつも挙げられる。まず、… 続きを読む

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三田村 蕗子

三田村 蕗子

フリーライター

福岡生まれ。津田塾大学学芸学部卒業。マーケティング会社、出版社勤務を経てフリーに。ビジネス誌、流通専門誌など、ビジネスの領域で活動するライター。おもな著作に「ブランドビジネス」(平凡社新書)、「夢と欲望のコスメビジネス」(新潮社新書)、「論より商い」(プレジデント社)、「アイリスオーヤマ 一目瞭然の経営術」(東洋経済新報社)など。

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