フィギュアスケート最前線

羽生結弦の『SEIMEI』はクールジャパンの象徴!?

2015.11.06 Fri連載バックナンバー

 羽生結弦を「単なるアスリート」と考えるのは、やめよう。今季のフリー・スケーティング(FS)のプログラムは『SEIMEI(せいめい)』。10月中旬にカナダで行われたオータム・クラシックで披露した「和」の世界観は、海外ファンからも好意的に受け止められた。そして10月末のグランプリシリーズ・スケートカナダでは、ショート・プログラム(SP)で6位と出遅れたものの、FSのSEIMEIで見事挽回、総合2位で大会を終えた。

 今季の羽生は、成績はもちろんのこと、「クールジャパンの体現者」としても見どころである。

 

シーズン前に能楽師・野村萬斎から教えを受ける

 今季のFS『SEIMEI』は、能楽師の野村萬斎が、陰陽師・安倍晴明を演じた映画『陰陽師』のサウンドトラックを題材としている。萬斎が演じた晴明は日本の伝統芸能で培った身のこなしから、日本の様式美を余すところなく表現していた。占術や呪術、祭祀を司る神秘性とカリスマ性も感じさせる。

 羽生は、萬斎が醸し出した雰囲気を手本としてプログラムを構築している。冒頭では、右手の人差し指と中指を立てて唇に当て、左手を頭の上に挙げた「呪(しゅ)」を唱えるおなじみのポーズで左回りに急回転。上体をぶらさず、腰を落としての移動、低い重心、ゆったりとした抑揚などをまねている。

 振付は昨年の『オペラ座の怪人』に引き続き、振付師のシェイ=リーン・ボーンが担当した。羽生とシェイ=リーンは、能や狂言の動きなどを研究し、振付に取り入れている。羽生自身も音楽の編集に携わり、冒頭には羽生の息を吹き込んだ。「和もの」ならではのスローな音を、フィギュアスケートの動きのスピードに合わせて編曲した。

 「現役の日本男子の中で、『和』をここまで出せるのは自分しかない。『和とフィギュアの融合』に挑戦し、自分の幅を広げたい」(羽生)

 シーズン前のコメントからは、プログラムにかける意気込みのほどがうかがえる。

 

技術面で多くの挑戦的な要素を盛り込む

 『SEIMEI』には、技術面でも多くの挑戦的な要素を盛り込んでいる。… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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