池井戸潤作品をビジネスに活かす!(第3回)

「下町ロケット」に学ぶ、企業の生き残り戦術

2015.12.07 Mon連載バックナンバー

 『半沢直樹』『花咲舞が黙ってない!』など、数多くの作品がドラマ化されている人気作家の「池井戸潤」。これまでに『ルーズヴェルト・ゲーム』『不祥事』を取り上げた本連載、第3回は10月からTBS系列でドラマ化もされている直木賞受賞作『下町ロケット』の魅力に迫る。

 本作は、かつて宇宙科学開発機構の研究者だった職人気質の経営者、佃航平が社長を勤める技術力に優れた中小企業 佃製作所を舞台とした物語だ。
 競合大手のナカシマ工業が佃製作所に対して特許侵害の訴えを起こすことからストーリーがはじまり、裁判の過程や、苦しい資金繰り、突然の取引停止、社員の反発など中小企業が抱える危機に直面しながらも奮闘する佃製作所の姿を描く。

 フィクションではあるものの、ビジネス書としても十分に読みごたえがある本作から、中小企業の生き残り戦術について学びたい。

 

既存の考えを打ち破る柔軟さ

 元宇宙科学開発機構の技術者である佃が率いる佃製作所は、エンジンメーカーとしては国内でトップクラスの実力を持つ。それゆえ大手のナカシマ工業からある製品が特許侵害として訴えられ、損害賠償額として90億円を請求されてしまう。しかし、そんな額が佃製作所に払えるわけがない。

 結局のところナカシマ工業の目的は、特許侵害した製品を製造中止に追い込むこと。そして、佃製作所を廃業に追い込み、あわよくば買収しようと目論んでいた。

 突然の訴えに戸惑いを隠せない佃たちが、最初に相談したのは先代から付き合いのある弁護士の田辺だ。田辺には、契約書の作成、債権回収、従業員の相談事などこれまでも何かと世話になってきた。今回も力になってくれると思い向かうが、技術論争に発展しそうな裁判ゆえ、エンジンについて説明すると「まあ、いいですわ。私、聞いてもわからないので」と言い理解しようともしない。そんな田辺の態度にイマイチ不安に思う佃製作所の社員。

 そんな中で、ナカシマ工業が佃製作所を訴えたことが知れ渡り、他の取引先からも発注のキャンセルを連絡が相次ぎ資金繰りが苦しくなっていく。

 この窮地を脱するのに佃製作所が行ったのは、… 続きを読む

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舟崎 泉美/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

舟崎 泉美/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

小説家、ライター

富山県出身、東京都在住。小説、脚本、ゲームシナリオ執筆。ライターとして雑誌、WEB、企業誌などにも記事を書いている。第一回本にしたい大賞受賞。著書「ほんとうはいないかもしれない彼女へ」(学研パブリッシング)。公式ホームページ http://izumishiori.web.fc2.com/

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