池井戸潤作品をビジネスに活かす!(第1回)

ルーズヴェルト・ゲームに見る無形のメリットの価値

2015.10.07 Wed連載バックナンバー

 「半沢直樹」「花咲舞が黙っていない」「ルーズヴェルト・ゲーム」など、多くの作品がテレビドラマ化されている小説家といえば「池井戸潤」。この10月からは「下町ロケット」がTBS系で放送される。

 池井戸作品が人気の理由のひとつとして、彼が小説家になる前、銀行員や金融コンサルタントとして活躍した経験を元とした、リアルなビジネスシーンの描写が挙げられる。しかし、それだけでは単なるビジネス書でしかない。彼の著作が人気を集める真の理由は何なのか? 本連載では、数ある池井戸作品の中から、ドラマ化された人気作の面白さに迫る。

 初回は、TBSでドラマ化もされ話題となった『ルーズヴェルト・ゲーム』(講談社)を取り上げる。本作はリーマンショックによる景気悪化を受け、経営危機に陥った中堅部品メーカー、青島製作所が舞台だ。タイトルとなっている「ルーズヴェルト・ゲーム」とは、野球を愛した第32代アメリカ合衆国大統領のセオドア・ルーズヴェルトが語った「一番おもしろい試合のスコアは8対7だ」という言葉に由来し、本作でも青島製作所とライバル企業の、ルーズヴェルト・ゲームのような激しいやりとりを見ることができる。

 

ライバル会社からの攻撃に打ち勝つ

 かつて社会人野球の名門として輝かしい成績を収めた、青島製作所野球部。ライバルは、同じ中堅部品メーカーのミツワ電器野球部だ。勝利のためなら手段を選ばないミツワ電器は、青島製作所野球部から監督と主力選手を引き抜き、野球部を潰そうとしていた。また本業においても、コストを抑えた新製品を開発して業界から“青島外し”を行ったり、吸収合併に近い経営統合の申し出を行ったりと、青島製作所を敵視する。

 現状ではミツワ電器より劣勢の青島製作所。経営危機を乗り越えるため、野球部としても会社としても、ミツワ電器に負けるわけにはいかなかった。

 

実績だけでリーダーは務まらない

 本作では、ものごとの本質を見極める目の重要性が描かれている。特に人の本質を判断する「人を見る目」については、学ぶべき箇所が多い。

 新たに青島製作所野球部の監督となった大道というキャラクターは、大学でスポーツ科学を専攻していた経歴をもつが、監督としては高校の野球部を率いた経験のみ。しかし野球に対する姿勢や、監督としての素質を日本野球連盟の理事に評価され、彼の推薦によって就任した。

 ところが高校生を指導しただけの大道が社会人チームである青島製作所の監督をすることに、選手たちは反発する。… 続きを読む

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舟崎 泉美/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

舟崎 泉美/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

小説家、ライター

富山県出身、東京都在住。小説、脚本、ゲームシナリオ執筆。ライターとして雑誌、WEB、企業誌などにも記事を書いている。第一回本にしたい大賞受賞。著書「ほんとうはいないかもしれない彼女へ」(学研パブリッシング)。公式ホームページ http://izumishiori.web.fc2.com/

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