ケータイ業界の最新動向に迫る(第41回)

なぜ今、中国で「QRコード決済」が大人気なのか

2017.08.03 Thu連載バックナンバー

 ここ最近、中国でスマートフォンとQRコードを活用したモバイル決済が急速に広がり、注目を集めるようになった。世界的にさまざまな企業がモバイル決済に取り組んできたものの、大きな成功に結びついた例は少ない。にもかかわらず、なぜ中国でモバイル決済が急拡大しているのだろうか

 

世界的に見ても普及が進まないモバイル決済

 スマートフォンを使って買い物などをするモバイル決済。日本でも10年以上前から、非接触通信方式のFeliCaを活用した「おサイフケータイ」が提供されており、昨年にはアップルがFeliCaを搭載した独自の決済サービス「Apple Pay」を開始していることから、ご存じの方も多いことだろう。

 だが実際にモバイル決済を使っているか?というと、意外と使っていないという人が多いのではないだろうか。FeliCa技術の開発やライセンスなどを手掛けているフェリカネットワークスの公表資料によると、モバイルFeliCaプラットフォームの利用者数は1,000万人とのことだが、この数字には決済だけでなく、会員証やチケットなどの用途にFeliCaを利用するケースも含まれている。それゆえ決済サービスの利用に絞ると1,000万人を割り込む規模と見られ、普及率は日本の総人口の1割以下だということが見えてくる。

 とはいうものの、日本はモバイル決済を古くから利用している人も多く、FeliCa決済のインフラも広く整備されていることから、これでも世界的に見ればモバイル決済が普及している方なのである。

 実は欧米などでもクレジットカード会社、そしてスマートフォンのOSを仕切っているアップルやグーグルが、以前より非接触通信方式のNFCを用いたモバイル決済普及に向けた取り組みを進めている。しかしながらその普及率は日本よりも低い国が多いというのが実情で、モバイル決済の普及はなかなか難しい、というのが世界的な認識となっている。

 だがそのモバイル決済が急拡大し、幅広い層に利用されるようになってきたのが中国である。最近では日本でも、訪日中国人観光客をターゲットに、中国のモバイル決済を導入するケースが増えている程だ。なぜ世界各国で普及に苦戦しているモバイル決済の分野で、中国が成功を収めているのだろうか。

 

中国で成功したポイントは「QRコード」と「ネット企業」

 中国で普及しているモバイル決済の特徴的な要素の1つは、QRコードを活用している点だ。非接触通信の代わりにQRコードとスマートフォンのカメラを用い、カメラでQRコードを読み取ることで、あらかじめ登録しておいた銀行口座から相手に送金したり、お金を受け取ったりできる仕組みである。

 QRコードを利用することの最大のメリットは、… 続きを読む

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なぜ今、中国で「QRコード決済」が大人気なのか
佐野 正弘

佐野 正弘

ライター

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。著作:『Windows&iPhone連携テクニック Windows 8.1対応』(共著、インプレスジャパン)、『今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ 大事典』(共著、技術評論社)、『ポケット百科 Xperia arc 知りたいことがズバッとわかる本』(共著、翔泳社)など

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