ケータイ業界の最新動向に迫る(第11回)

“実質0円自粛“の裏で笑うメーカー、泣くメーカー

2016.05.24 Tue連載バックナンバー

 これまで当たり前のものとなっていたスマートフォンの“実質0円”販売が、総務省の要請によって事実上姿を消そうとしている。大幅な値引き販売がなくなることは、当然ながら端末メーカーに大きな影響を与えることとなるのだが、その影響を受けて笑うメーカー、泣くメーカーはどこになるのだろうか。

 

総務省のガイドラインで端末価格が急騰

 ここ2、3年の総務省の動きによって、携帯電話の販売の形が大きく変わろうとしている。昨年実施されたSIMロック解除義務化に続き、今年4月には「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」の適用を開始し、キャリアの過剰な端末割引にメスを入れることとなった。

 なぜこのようなガイドラインが適用されることになったのかといえば、その背景には大手3キャリアが展開してきた、激しい端末値引き合戦があった。2014年頃まで、各キャリアは番号ポータビリティ(MNP)で他社から乗り換えるユーザーを優遇し、スマートフォンを実質負担金0円など大幅に割り引いて販売。それだけでなく、店舗によってはさらに数万〜数十万円ものキャッシュバックをプレゼントするなど、至れり尽くせりの優遇施策を展開してきたのである。

 こうした販売手法を、MNPで乗り換えるユーザーとそうでないユーザーとの間に不公平感があるとして総務省は長年問題視していた。そこで昨年、総務省で実施された「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」が実施された際、端末の過剰な割引が携帯電話料金の引き下げ、ひいてはキャリア間の料金競争を阻害する要因の1つになっていると位置付け、先のガイドライン適用へとつながっていったのである。

 そしてこのガイドラインの適用前後から、端末販売の現場には大きな変化が起きているようだ。今年の2月には、いくつかのキャリアが端末の実質0円販売を自粛する方針を打ち出したほか、4月には先のガイドライン則る形で、総務省はキャリアに対し、実質数百円程度で端末を販売することも認めない方針を打ち出している。その結果多くの店舗では、最も安い端末でも実質1万円程度での販売が主流となりつつある。

 だがユーザーにとってみれば、突然端末の価格が実質0円から1万円にアップしたこととなるため、当然のことながら“買い控え”が起きてしまっているのが事実だ。そして端末価格値上げによる買い控えは、必然的に端末メーカーにも大きな打撃を与えている。

 

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佐野 正弘

佐野 正弘

ライター

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。著作:『Windows&iPhone連携テクニック Windows 8.1対応』(共著、インプレスジャパン)、『今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ 大事典』(共著、技術評論社)、『ポケット百科 Xperia arc 知りたいことがズバッとわかる本』(共著、翔泳社)など

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