ケータイ業界の最新動向に迫る(第10回)

実質0円の自粛で携帯電話市場の競争はどう変わる

2016.05.11 Wed連載バックナンバー

 昨年実施された総務省のタスクフォースの結果を受け、今年に入ってからスマートフォンの実質0円販売自粛が進むなど、携帯電話の販売が大きく変化している。タスクフォース後の携帯電話市場はどうなっていくのだろうか。

 

総務省の“実質0円”撲滅運動で端末販売が苦戦

 安倍晋三首相の携帯電話料金についての発言を受け、昨年末に総務省で実施された有識者会議「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」。そのタスクフォースでの議論の結果から、総務省は携帯電話大手3社に対し、いくつかの要請を実施している。

 その1つが、端末価格に関するものだ。大手3社はこれまで、番号ポータビリティ(MNP)でキャリアを乗り換えるユーザーに対し、端末価格を大幅に割引し、さらに商品券などをキャッシュバックでプレゼントするなど、過剰なサービスを実施してきた。これが携帯電話料金が高止まりしている要因の1つになっている上、機種変更とMNPによる乗り換え時で割引額に大きな差があることなどが問題視され、MNPでの乗り換えユーザーに対し、端末の過剰な割引をしないよう要請したのである。

 その結果、今年2月より大手3社は一斉に実質0円、もしくはそれを割り込む価格での端末販売を自粛した。さらに総務省は、4月から端末料金の割引に関して「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を適用しており、このガイドラインにのっとる形で、実質数百円での端末販売や、MNPで乗り換えた人に端末価格ではなく通信料を割り引くなどの施策も“NG”と判断。実質0円販売の撲滅に向け、総務省は相当厳しい姿勢を見せているのが分かる。

 こうした結果、これまでの携帯電話販売で一般的だった“実質0円”販売は姿を消し、安価なスマートフォンであっても1万円前後の価格で販売されるようになりつつある。端末価格の実質的な値上げによって、新しい端末を購入したいユーザーの数は減少しているようで、販売の現場では悲鳴が上がるとともに、端末メーカーも大きな影響を受けているようだ。

 

安価な料金プランの提供に消極的なキャリア

 一方で、総務省は端末価格の割引が減少した分を原資として、ライトユーザー向けに安価な料金プランを提供するように要請もしている。実際、この要請を受けて大手3社はライトユーザー向けの料金プランを用意したのだが、その中身を見ると、あくまで総務省が目安として示した「高速通信容量1GBで月額5,000円」という内容を基準として、総務省要請に応えただけであり、プラン自体には実効性がないように見える。

 たとえば… 続きを読む

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佐野 正弘

佐野 正弘

ライター

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。著作:『Windows&iPhone連携テクニック Windows 8.1対応』(共著、インプレスジャパン)、『今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ 大事典』(共著、技術評論社)、『ポケット百科 Xperia arc 知りたいことがズバッとわかる本』(共著、翔泳社)など

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