東南アジア最新事情(第2回)

タイのコーヒーショップ市場に見る「奥手の日本」

2015.08.25 Tue連載バックナンバー

 今、タイのバンコクでは、20年ほど前までは影も形もなかったコーヒーショップが街を席巻している。屋台、駅の構内、路面店、大型商業施設の一画と、さまざま場所で店舗を見かけることができる。今やコーヒーは、日本人のみならず、タイ人にとっても毎日の生活に欠かせない日常的な飲み物となっている。

 

アメリカ勢が圧倒する、タイのコーヒーショップ市場

 タイでは、多種多様なコーヒーショップが市場を形成する中、店舗数やブランド力で群を抜く存在といえば、日本人にもお馴染み、アメリカ・シアトル発のスターバックスをおいて他にない。スターバックスがタイに進出したのは1998年のこと。以降、着々と店舗数を増やし、場所を選びながら地方都市にも出店を進めている。現在の店舗数は約170店にのぼる。

 洗練された雰囲気の中でコーヒーを提供しているスターバックスは、タイにおいてはコーヒーショップというよりも、オシャレなニュアンスのある「カフェ」という言葉がふさわしい。その意味で、スターバックスと双璧をなすのがAu Bon Pain(オーボンパン)だ。フランス語で「よいパン」を意味する店名から、フランス発のチェーンと思われがちなオーボンパンは、1978年にベーカリーメニューを強みに、アメリカ・ボストンで誕生した。

 タイに進出したのはスターバックスより1年早い、1997年のこと。大型商業施設を中心に出店している点はスターバックスと同じだが、バンコク中心のため、店舗数は約70店と少ない。だが、地域を絞り、店舗数を急拡大していないためにブランド力は高く、タイにおける「オシャレなカフェ」の一翼を担っている。

 この2つのチェーンのコーヒーの価格は、カフェラテで1杯100バーツ前後(約350円)。タイの物価を考えると非常に高い設定だが、店の中でゆったりと過ごす時間と空間への対価として、利用されている。当初は欧米人や日本人の利用が目立ったが、現在では地元タイ人の姿も非常に目立つ。

 

庶民性、またはフレッシュな店舗デザインで勝負するローカルチェーン

 もちろん、タイ生まれのローカルチェーンもないわけではない。

 もっとも古いのが、1993年に生まれたブラックキャニオンコーヒーだ。タイ全域に出店し、店舗数は250店に達している。ただし、… 続きを読む

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三田村 蕗子

三田村 蕗子

フリーライター

福岡生まれ。津田塾大学学芸学部卒業。マーケティング会社、出版社勤務を経てフリーに。ビジネス誌、流通専門誌など、ビジネスの領域で活動するライター。おもな著作に「ブランドビジネス」(平凡社新書)、「夢と欲望のコスメビジネス」(新潮社新書)、「論より商い」(プレジデント社)、「アイリスオーヤマ 一目瞭然の経営術」(東洋経済新報社)など。

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