東南アジア最新事情(第1回)

日本企業が切り込む、タイのお菓子マーケット最前線

2015.08.17 Mon連載バックナンバー

 タイ人は甘いモノに目がない。「甘く、辛く、酸っぱい」タイ料理を日々食べている彼らは、飲料や他の食べ物に対しても「甘さ」を求め、メリハリの効いた味を好む傾向があるようだ。コーヒーや紅茶、緑茶や豆乳においても甘味は不可欠だという。

 甘い食べ物の代名詞といえばお菓子だが、タイのスーパーマーケットやコンビニでは、日本のお菓子も人気を集めている。では、タイでは一体どのようなモノが好まれているのだろうか。欧米のメーカーの存在感やシェアなどから、タイのお菓子マーケットの最前線を読み解く。

 

タイで圧倒的な強さを誇る、欧米のグローバルメーカー

 まずタイのお菓子の流通は、「モダントレード」と「トラディショナルトレード」の2つに分けられる。モダントレードの流通は、フランス資本が入った“Big C”や、イギリス資本が入った“テスコ・ロータス”といったハイパースーパーマーケット、そしてセブン-イレブンに代表されるコンビニエンスストアで構成されている。1990年代の後半以降に登場した、近代的な小売形態だ。一方で、トラディショナルトレードの流通は、小さな食料品店がメインとなる。

 しかし、どちらの流通であろうと、お菓子については欧米のグローバルメーカーが圧倒的な強さを誇っている。タイのローカルメーカー(自国のメーカー製)のお菓子もないわけではないが、売り場における存在感に関していえばまったく比較にならない。

 スイスに拠点を置くネスレ、米国本社のモンデリーズ、同じく米国発のマース。世界をまたにかけて事業を展開するグローバルメーカーがお菓子売り場の棚をがっちりと確保しているのが現状だ。

 

タイ人の志向を踏まえた商品開発と販売促進で市場を切り開くグリコ

 だが、欧米のグローバルメーカーが圧倒的優位にあるマーケットで、いま気を吐いているメーカーがある。それが、日本の江崎グリコだ。海外事業を積極的に推し進めている同社の海外進出は、じつはタイから始まっている。1970年、タイに現地法人タイグリコを設立し、「ポッキー」「プリッツ」の現地生産をスタート。現在、タイでは、チョコレート菓子の「ポッキー」を手始めに、「プリッツ」や「コロン」、また「ペジョイ」(外側にスナック、内側にチョコがある棒状の菓子)や「アルフィー」(クラッシュアーモンドの入った板チョコ)などを展開している。

 「ポッキー」は、現在では、日本の「つぶつぶいちごポッキー」をベースに開発した「フルーティポッキー」(イチゴとブルーベリーの2種)、軸のプリッツにもチョコを練り込み、さらにその上からチョコでコーティングした「ポッキーダブルチョコ」、タイ人に人気の抹茶フレーバーの「抹茶味」、チョコとバナナを組みあせた「チョコバナナ」など、8種類を投入している。新しく投入したのは、いずもれタイ人の好みを踏まえて開発したアイテムだ。

 タイ人向けのフレーバーに加えて、グリコのもうひとつの武器といえるのが、… 続きを読む

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三田村 蕗子

三田村 蕗子

フリーライター

福岡生まれ。津田塾大学学芸学部卒業。マーケティング会社、出版社勤務を経てフリーに。ビジネス誌、流通専門誌など、ビジネスの領域で活動するライター。おもな著作に「ブランドビジネス」(平凡社新書)、「夢と欲望のコスメビジネス」(新潮社新書)、「論より商い」(プレジデント社)、「アイリスオーヤマ 一目瞭然の経営術」(東洋経済新報社)など。

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