小学校英語教科化で何が変わる!?(第2回)

英語重視の教育が学力水準を低下させる?

2015.07.22 Wed連載バックナンバー

 2020年をめどに全面実施される予定の小学校英語教科化。第1回目は、小学校から英語を学ぶことが本当にグローバル人材の育成の役立つのかについて述べました。第2回目は小学校英語教科化が国語や算数をはじめとしたその他の教科に及ぼす影響を考えます。

 現行の学習指導要領では国語に重点が置かれていますが、英語の比重が高まることで、何らかの影響があるのは間違いありません。果たして“国語重視”の教育から“英語重視”の教育へと方針を転換することは、我が国の教育にとって望ましいことなのでしょうか? 政府や各種団体の公表している統計データをもとに、その答えを探っていきます。

 

現学習指導要領より開始された小学校での「外国語活動」

 2011(平成23)年度より全国の小学校において全面実施されている、現行の学習指導要領(以下、現指導要領)。「脱ゆとり教育」を目指した授業時間数の拡大とともに、「外国語活動」の新設が注目を集めました。

 「小学校学習指導要領解説 総則編(PDF)」(以下、「総則」)では、「外国語活動」を新設した目的を、「外国語を通じて、児童が積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成し、言語・文化に対する理解を深めるため」としています。

 ポイントは、“外国語”活動とされていること。現実的には英語指導を行っている小学校が大多数であるとしても、現指導要領においては英語学習に限定されているわけではないということです。また、「総則」にある通り、外国語活動の目的は英語運用能力を高めることではなく、「言語・文化に対する理解を深める」ことであるとされています。

 

広義の意味で「国語」を重視した現指導要領

 現指導要領では、「外国語活動」の新設とともに、国語教育に関する記述も目立ちます。

 「総則」ではPISA調査(※1)をもとに我が国の児童生徒について「思考力・判断力・表現力等を問う読解力や記述式問題,知識・技能を活用する問題に課題」があるとしています。こうした課題を受けて、現指導要領では改革の基本方針の2番目として「知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視すること」という方針を表明。さらに、各教科の学習活動で基盤となるのは「言語に関する能力」であり、国語科のみならず各教科でその育成を重視するとしています。

※1 OECD(経済協力開発機構)が実施している、国際的な学習到達度に関する調査。15歳児を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの三分野について、3年ごとに調査を実施している。PISAとは「Programme for International Student Assessment」のこと。

 つまり教科としての国語に限定せず、母国語として広い意味で国語の運用能力を向上させる、という方針を表明しているのです。

 そのため平成14年度より実施されていた旧学習指導要領(以下、旧指導要領)と比較すると、必ずしも国語の授業時間数が圧倒的に増えたというわけではありません。下記表の通り、旧指導要領と比較して最も授業時間数が増えたのは算数となっています。しかしながら、算数では文章題の割合が多くなり、理科や社会についても資料読解やレポート作成といった学習が増えています。よって現指導要領では、他教科についても広義での国語を重視した内容となったのです。

 

国語重視から英語重視へと移行する新指導要領

 一方で、2020(平成32)年度をめどに全面実施される予定の新学習指導要領(以下、新指導要領)では国語を重視した現行の指導要領から大きく方向性が変わります。… 続きを読む

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落合 純平

落合 純平

ライター

株式会社ネクストアド所属のライター。1988年生まれ、東京都大田区出身。大学在学中より、塾講師や家庭教師として教育業界に携わってきた。現在は教育コラムニストとして教育系コラムを執筆する他、ITコラム、企業のホワイトペーパーなどB2Bの記事を得意とする。http://www.nextad.co.jp/

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