世界的潮流「反転学習」から学ぶべき企業の人材教育(第1回)

「使えない新卒社員が多い」は教育現場の責任か?

2015.06.12 Fri連載バックナンバー

新入社員がぜんぜん仕事を覚えてくれない……

 今春から新卒の新入社員が入社した企業も多いことでしょう。すぐに仕事を覚える新入社員も中にいるかもしれませんが、だいたいはそう簡単にはいきません。新入社員を教育する立場にある人は、「おいおい、もっと学校でちゃんと教えてくれよ……」と、教育の現場に不満を抱く人もいるかもしれません。

 実は日本の産業界は、教育現場に対し、一昔前からずっと「もう少し社会で活躍できる人材を育成してくれたら」といった要求をしてきました。たとえば2004年、経団連が教育界に対して投げかけた「21世紀を生き抜く次世代育成のための提言(PDF)」では「(産業界の)教育界への期待に反し、教育現場には危機感が足りない」などと示されています。

 この提言の中で、産業界は教育界に対し「志と心」「行動力」「知力」の3つの力を伸ばすことを期待しています。志と心とは「社会の一員としての規範を備え、物事に使命感をもって取り組む力」、行動力とは「情報の収集、交渉、調整などを通じて困難を克服しながら目標を達成する力」、知力とは「深く物事を探求し考え抜く力」と定義されています。

 まとめれば「ホワイトカラーの資質要件」です。即ち、自分で課題を発見し、主体的に考えて行動できる資質をもう少し教育現場で身につけさせてから社会に送り込んでほしい、ということが読み取れます。

 しかしなぜ教育現場、もう少し堅い言葉でいえば公教育(本稿では高校や大学、専門学校など、一般的な「学校」で行われる教育のことを指します)がそうした産業界の人々の期待に応えることができないか、皆さんはその理由を考えたことがあるでしょうか。

 筆者はよくコンサルの立場から、企業の経営幹部の方々に対し、「学校が産業界の期待に応えられていない理由がわかりますか」と尋ねることがあります。そんな時は決まって「学校はビジネスのことをわかっていないから」といった台詞で批判される場合が多いのです。

 ですが、それは公教育の責任とは簡単に言い切れません。なぜなら、公教育はもともと、産業界が求める人材を輩出するための教育を行っていないからです。産業界の人々は、そうした教育を学校が行っていないことだけでなく、なぜ輩出できないのかという本質的理由を理解していないのではないでしょうか。

 それでは、産業界の人々が理解していない日本の公教育の本質とは果たしてどのようなものなのか。なぜ公教育が産業界の期待に応える人材教育が困難なのか。その本当の理由を皆さんにお伝えします。

 

日本の公教育の原点

 日本の公教育の本質を理解するには、その歴史的起源について正しく理解する必要があります。日本の公教育の起源は英国で起きた産業革命にまで遡ることができます。… 続きを読む

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相澤 幸広

相澤 幸広

ライター

教育分野を中心とした経営コンサルティング企業で経験を積んだ後、経営コンサルタントとして独立。企画立案やCSをテーマとした企業コンサルティングを行っている他、事業構想等を企画書としてまとめる企画ストラクチャー業務や、ビジネスマン向けの教材や講座開発等も手掛けている。趣味は映画鑑賞。

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