世界史から学ぶ国際情勢(第7回)

なぜ柔道はJUDOに勝てないのか?

2015.03.06 Fri連載バックナンバー

 「日本の柔道はもはや世界には通用しない」「柔道とJUDOは別物だ」。そんなことが言われて久しい。

 実際、日本の柔道は勝てていないのだろうか? だとすれば原因はなんなのか?柔道はどこに向かおうとしているのか?

 今回は柔道とJUDOの現状を探る。

 

日本の柔道は勝てていないのか?

 柔道の国際大会の中でもっとも権威があり、IJF(国際柔道連盟)のランキング制度でもっとも高いポイントが割り当てられているのが五輪と世界柔道選手権大会(以下、世界柔道)だ。

 五輪は4年に一度、世界柔道は2007年まで隔年、2009年以降は毎年開催されており(五輪開催年を除く)、TVでも大いに盛り上がるのでご存知の方も多いだろう。「日本は勝てない」という場合、この二大会の影響が特に大きいものになる。

 1987年までの実績は目覚ましい。五輪では男子柔道が正式種目になった1964年の東京において金-銀-銅で3-1-0(全4階級)、ミュンヘンでは3-0-1(全6階級)、モントリオールでは3-1-1(全6階級)、ロサンゼルスでは4-0-1(全8階級)と、種目がなかったメキシコとボイコットしたモスクワを除いて半数以上の階級で金メダルを獲得している。世界柔道でも階級制がとられた1965年以降1987年までの全大会で、男子はつねに過半数の階級で優勝している。

 これが崩れるのが1988年のソウル五輪で、男子が1-0-3、公開競技の女子が1-1-3という惨敗を喫した(男女各7階級)。

 その後の五輪の結果は、バルセロナ(男子2-1-2、女子0-3-2)、アトランタ(2-2-0、1-2-1)、シドニー(3-1-0、1-1-2)、アテネ(3-1-0、5-1-0)、北京(2-0-0、2-1-2)、ロンドン(0-2-2、1-1-1)となっている。直近の北京、ロンドンは総メダル数で過去最低で、特にロンドンでは金メダルが男女合わせてひとつという衝撃の結果。これが日本敗退のイメージに直結したのだろう。

 世界柔道の結果は1989年以降、波があってなんとも言いがたい。直近3回は、団体戦の結果を除くと2011年(2-2-1、3-4-3)、2013年(3-0-1、0-1-2)、2014年(2-1-1、2-1-2)。だいたい金メダルが男女各0~3、メダル総数各3~5といったところ。この傾向は1990年代もあまり変わらない。

 現在、柔道競技は男女各7階級で争われている。そこでつねに7つ以上のメダルを獲得している国は他にないし、惨敗といわれたロンドン五輪でさえ総メダル数では1位となる。これで「勝てない」と言われるのはやはりお家芸であるからで、ソウル五輪以前の目覚ましい活躍と比べて見劣りするということなのだろう。

 

柔道とJUDOの違い

 日本の柔道が昔ほど勝てなくなった理由としてしばしば挙げられるのが柔道とJUDOの違いだ。

 日本の柔道には、直立不動の体勢から組手争いを行い、一瞬で技をかけて一本を取りに行くイメージがある。対して外国勢の柔道、いわゆるJUDOは、… 続きを読む

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長谷川 大

長谷川 大

世界遺産&旅行ライター

横浜国立大学卒業後、出版社勤務。三国志・戦国時代・幕末・ギリシア神話など、歴史ものを中心に編集・ライティングを行う。世界一周の旅を経てフリーの編集者・ライターとして活動中。これまでの訪問国数は68か国、世界遺産は182か所。All About「世界遺産」公式ガイド。http://allabout.co.jp/gm/gt/563/

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