世界史から学ぶ国際情勢(第31回)

なぜ日本のGDPは低迷を続けるのか?

2016.03.15 Tue連載バックナンバー

 1968年、神武景気・岩戸景気・オリンピック景気・いざなぎ景気と続く高度経済成長のおかげで、日本のGDP(国内総生産)は西ドイツを抑えて世界2位に躍進した。以来40年以上その座を維持したが、2009年に中国に抜かれて3位に転落した。

 国民の豊かさを示すと言われる「一人あたりGDP」については1988年に世界3位を記録し、15年以上も10位以内に収まっていた。しかし、2014年は27位まで低下した。

 なぜ日本のGDPは低迷しているのか? 日本は貧しい国になったのか? その実体を探る。

※本稿で取り上げる主な数値はIMF(国際通貨基金)と内閣府のデータをもとにしている

 

日本のGDPは低迷しているのか?

 日本の名目GDP(物価の変動を考慮しないGDP)のピークは1997年で、523兆円を記録している。2014年は488兆円なので1997年の93%に留まっている。しかし、日本は1995年頃からデフレ傾向にある。物価が下がると同じ1万円でも買える物が増えるので、名目GDPが下がっても一概に成長がマイナスに転じたとは言いがたい。

 こうした物価変動を調整した指標が実質GDPだ。1997年の実質GDPは475兆円で、ピークは2013年の527兆円。2015年の推計は530兆円で過去最高となっている。

 前年と比べた実質GDPの伸び率が経済成長率だ。1980年代は平均4.41%で推移したのに対し、1990年代は1.47%、2000年代は0.56%、2010年代は1.50%となっている。実質GDPを見る限り、日本の経済は確実に成長している。ただし、1.50%は2014年の経済成長率で188か国中146位に該当する低水準であることも確かだ。

 世界で日本経済が占める割合は確実に縮小しており、名目GDPで日本は1997年に世界の13.8%を占めていたが、2014年は5.8%に留まっている。とはいえ世界3位で、ドイツの4.9%、イギリスの3.8%、フランス3.6%などよりはるかに上だ。

 IMFの見通しでは、2020年においても日本は3位を維持するとしている。2030~2050年の間にインドに抜かれると予想する調査機関も多いが、それでも日本は4位につけている。成長率は低迷しているが、GDP自体は当面世界屈指であると言えそうだ。

 

日本の一人あたりGDPは本当に低いのか?

 1980年代後半から2000年頃まで、日本はGDPだけでなく一人あたりGDPにおいても世界有数で、しばしば世界3位を記録していた。2014年の27位はあまりに衝撃的な数字であるわけだが、これは何を意味しているのだろう?… 続きを読む

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長谷川 大

長谷川 大

世界遺産&旅行ライター

横浜国立大学卒業後、出版社勤務。三国志・戦国時代・幕末・ギリシア神話など、歴史ものを中心に編集・ライティングを行う。世界一周の旅を経てフリーの編集者・ライターとして活動中。これまでの訪問国数は68か国、世界遺産は182か所。All About「世界遺産」公式ガイド。http://allabout.co.jp/gm/gt/563/

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