世界史から学ぶ国際情勢(第21回)

なぜオリンピックは4年に1度開催されるのか?

2015.10.08 Thu連載バックナンバー

 2020年、東京での開催が決定したオリンピック。インフラ整備を含めると総予算は1兆円とも2兆円ともいわれる世紀のイベントだが、新国立競技場の建設が見直しとなり、エンブレムが撤回されるなど、早くもさまざまな騒動に揺れている。

 報道ではそのビジネス的な側面ばかりが注目されているが、そもそもオリンピックは約3,000年の伝統を誇る歴史ある競技会で、確固たる理念と目的があり、「平和の祭典」と呼ばれる理由がある。

 今回はオリンピックの歴史とその理念を追う。

 

平和の祭典・オリンピックの起源

 古代オリンピックの歴史は神話の時代にまで遡る。

 半神半人の英雄ヘラクレスが最高神ゼウスのために神殿を築いて競技会を開いたとする伝説や、超人アキレウスが親友パトロクロスを弔ってスポーツの大会を催したという物語をはじめ、数々の神話が伝わっている。記録のない時代にはじまったこうした競技会は、戦争が相次いだことでいつしか中止されてしまったようだ。

 紀元前8世紀、ペストの流行に頭を抱えたエリス国のイフィトス王は、太陽神アポロンにお伺いを立てようと聖地デルフィを訪れる。アポロンは巫女の口を借りてこう告げたという。「戦を止め、オリンピアで競技会を開催しなさい」。

 イフィトス王はスパルタ国のリグルゴス王、ピサ国のクレオステネス王と会談を持つとオリンピア大祭の開催を決め、期間中はすべての戦を中止し武器をとることも禁ずるという「エケケイリア」の理念を定め、これを「イフィトスの円盤」に刻んで全ギリシアに布告した。大祭前にはオリーブの葉でできた冠をかぶった「スポンドフォロイ」と呼ばれる平和の使者がこの円盤を持って各国を回り、開催を知らせたという。

 紀元前480年、アケメネス朝ペルシアの数十万に及ぶ大軍が攻め寄せた際にもオリンピア大祭が開かれていた。しかし、ギリシア各国は大祭を優先して派兵をせず、ペルシア軍と対峙したのはスパルタ王レオニダス率いるわずか300の精鋭だったという。いわゆるテルモピレーの戦いで、映画『300<スリーハンドレッド>』で「300人vs1,000,000人」というコピーで話題になった。オリンピア大祭はこれほど重要な神事だった。

 しかしこのペルシア戦争後、… 続きを読む

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長谷川 大

長谷川 大

世界遺産&旅行ライター

横浜国立大学卒業後、出版社勤務。三国志・戦国時代・幕末・ギリシア神話など、歴史ものを中心に編集・ライティングを行う。世界一周の旅を経てフリーの編集者・ライターとして活動中。これまでの訪問国数は68か国、世界遺産は182か所。All About「世界遺産」公式ガイド。http://allabout.co.jp/gm/gt/563/

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