世界史から学ぶ国際情勢(第16回)

なぜブータンは「幸せの国」なのか?

2015.07.21 Tue連載バックナンバー

 「幸せ」とは何か、世界各地で考えさせられる。

 以前、あるインド人が私にこう言った。「冷蔵庫がほしい。TVがほしい。車もほしいな。それから家族においしいものを毎日食べさせてやりたい。そうすればぼくは幸せになれるんだ!」。

 途上国の多くの人間がこう考えているわけだが、私たち日本人はこの夢をほとんど実現している。では、日本人は幸せに満たされているのだろうか?

 今回はブータンを中心に、世界と幸せについて考えてみたい。

 

ブータンは本当に「幸せの国」なのか?

 「幸せの国」といったら誰もが思い浮かべるのがブータンだろう。

 ブータンの幸福政策は1970年代にジグミ・ドルジ・ワンチュク国王が国民の繁栄と幸福を達成することを第一の目標に掲げたことにはじまる。そして次のジグミ・シンゲ・ワンチュク国王はGNH(国民総幸福量)という概念を導入し、政治に反映させた。

 GNHは幸福感・健康・教育・文化多様性・生活水準・自然環境・コミュニティー・時間の使い方・政治の9領域からなる指標で、GNP(国民総生産)ではなくGNHをよいものにすること、つまり国民の幸福を最大化することを国策とした。これが1980年代に世界的に報道され、2002年の国連総会で取り上げられたことで、ブータン=幸せの国というイメージが定着したようだ。

 ブータンについてよく耳にするのは、山岳地帯に栄える風光明媚な国で、教育と医療がほぼ無料、食料自給率も100%に近く、2005年の国勢調査では97%の国民が幸せを感じていると回答したということだ。しかし、こうした内容はブータンのほんの一側面にすぎない。… 続きを読む

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長谷川 大

長谷川 大

世界遺産&旅行ライター

横浜国立大学卒業後、出版社勤務。三国志・戦国時代・幕末・ギリシア神話など、歴史ものを中心に編集・ライティングを行う。世界一周の旅を経てフリーの編集者・ライターとして活動中。これまでの訪問国数は68か国、世界遺産は182か所。All About「世界遺産」公式ガイド。http://allabout.co.jp/gm/gt/563/

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