災害を食い止める土木力(後編)

自然と共生しながらがけ崩れを防ぐノンフレーム工法

2014.08.30 Sat連載バックナンバー

 8月20日の未明から広島市の北部で1時間に100ミリを超える雨が降り、広範囲で土石流などが発生、多数の死者・行方不明者が出た。国土の75%が山地の日本では、崖上や崖下にも多くの住宅が建てられている。広島の土石流災害は他地域でも起こりうる。崖崩れを防ぐ手立てはないのだろうか。

 

人口の根っこ

 張り巡らされた木の根が崖崩れを防ぐことは古くから知られてきた。横に広がった木の根が斜面を安定させるからだ。だが根は深い地層にまで及ばない。崩れようとする土層とその下の土層を繋ぎ止める力はない。

 そこで斜面を安定させる自然の根の力を残したまま、根の力が及ばない深い地層へ鉄製の「人工根」を打ち込む。皿の上の豆腐は傾けると滑り落ちるが、爪楊枝を垂直に突き刺すと滑り落ちにくくなるのと同じ理屈だ。その人口根を支圧板という鉄板で締め付け、さらに支圧板同士をワイヤーロープで蜘蛛の巣のように連結させていく。鉄の棒は樹木の垂直根、ロープは水平根。つまり人工的な根っこを張り巡らせて斜面を守る。「ノンフレーム工法」と呼ばれる工法だ。

 斜面に生えている樹木は基本的に伐採しない。斜面の樹木などの植生がもつ斜面安定効果を活かしつつ、補強材と地山の相互作用で斜面全体の安定性を高めるためだ。斜面に長さ3~5メートルのロックボルトを多数打設して補強。支圧板が地表を押さえ込み、支圧板をつないだワイヤーロープが地表面の崩れを引き留める。… 続きを読む

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産経デジタル

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