災害を食い止める土木力(前編)

伊豆大島の大雨被害を軽減した「スリットダム」とは

2014.08.27 Wed連載バックナンバー

 南北2,000キロに及ぶ日本列島には2,000メートル級の山脈が背骨のように縦貫している。そのため河川の勾配が急で、毎年夏から秋には台風による強風や豪雨に見舞われる。今年は例年にもまして自然災害が多いようだ。だが、災害の多い日本を最前線で守っている土木技術も少なくない。

 

観測史上最高の降雨量

 平成25年10月15日~16日、東京都伊豆大島は豪雨に見舞われた。台風26号の接近で、中心集落の元町地区の雨量は1時間に122.5ミリ、24時間では824ミリと、同町の観測史上最高値を記録した。

 元町の山肌は30~40度の急斜面だ。溶岩の上に火砕物が堆積した地質で、そこへ記録的な豪雨が襲ったからたまらない。大量の土砂と流木が尾根を超えて市街地を直撃。東京都建設局の資料によると、死者36人、行方不明者3人、住宅の全壊50戸、半壊26戸、一部損傷77戸の被害が出た。

 雨が上がった後、山を見回った町民は戦慄した。斜面中腹に設置してあった砂防施設に、大型の岩や引き裂かれた樹木が大量に引っかかっていたからだ。これがみな下流に流れ出ていたら、町全体がやられていたかもしれない。土砂や流木を食い止めたのは山肌に設置されていた「鋼製スリットダム」だ。全部で6基あるうち5基が土砂や流木をとらえ、被害を軽減した。

 

スリットダムで被害軽減

 鋼製スリットダムは鋼管を格子状に組んだ立体構造物だ。川を横切るように渡された柵といえばイメージが近いかもしれない。

 「パッと見、こんなスカスカでいいのかと思われるかもしれない。でも、このスカスカでないとダメなんです。コンクリートの壁だと… 続きを読む

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産経デジタル

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