地域振興とアニメーション

地方振興の新たな鍵「アニメツーリズム」の可能性

2014.08.25 Mon連載バックナンバー

 NHKで放送されている大河ドラマが、登場する地域の観光促進に貢献しているのは知られた話。今放送中の「軍師 官兵衛」では、黒田官兵衛が生まれ育った姫路市を訪ねたいという人が増えている。そんなドラマと同様、テレビや映画のアニメーションが、若い人たちを作品に登場する場所へと向かわせる現象が、この何年かで急速に広まっている。

 

金沢の「ぼんぼり祭り」に1万人

 宵やみを照らすぼんぼりが並ぶ道を、大勢の人が行き交う。昨年10月12日に石川県金沢市の湯涌温泉街で開かれた「ぼんぼり祭り」には、全国から1万人ほどの観光客が集まり、夜を徹して賑わった。

 実はこの祭り、2011年放送の「花咲くいろは」というテレビアニメがきっかけで始まったものだ。湯涌温泉がモデルとなった湯乃鷺温泉の旅館で働く少女たちを描いたアニメで、放送を見て作品の世界を体感してみたいと、湯涌温泉を訪れる人たちが増えた。勢いを感じた地元では、作中に登場した架空の祭りを実際にやってみたいとアニメの権利元に要望。「光栄なこと」と受け止めたアニメーション制作会社のピーエーワークスが協力し、11年10月に第1回を開催して5,000人が集まった。

 アニメが地域振興に役立つことは、07年放送のテレビアニメ「らき☆すた」に登場した埼玉県久喜市にある鷲宮神社が、数年で初詣客を倍近くに増やしたことでも知られる。最近では、少女たちが戦車を操縦して戦うアニメ「ガールズ&パンツァー」に登場する茨城県大洗町が、大勢の来訪者で賑わいを見せている。「ぼんぼり祭り」の成功は、アニメツーリズム、または“聖地巡礼”と呼ばれるアニメによる地域振興の好例だ。

 今年春に東京ビッグサイトで開かれたイベント「アニメジャパン2014」で開かれたビジネスセミナーでは、この「花咲くいろは」を制作したピーエーワークスの菊地宣弘専務が、同社が制作してきたアニメ作品が、地域の観光促進にどう役割を果たしたかを紹介した。08年の「true tears」では、富山県南砺市で古くから伝わる2つの祭りをアレンジし、アニメに登場させてその存在を全国に知らしめ、地元の人にも良さを再認識させた。

 現在は、南砺市や観光協会など企画した「恋旅」というスマートフォンなどで見られるアニメの提供中。地元が舞台となった3話6本から成るシリーズをすべて見るには、南砺市へと出向いて見られる場所を回る必要があるが、それでも見たいというファンを現地へと引きつけている。… 続きを読む

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産経デジタル

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