ウナギの今と未来

絶滅危機のウナギは食べられなくなるのか?

2014.07.17 Thu連載バックナンバー

 直木賞作家の三浦しをんによる小説を映画化した「WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~」は、都会育ちの少年が訳あって林業に携わる研修生となり、山奥で厳しい指導に耐えながら1年間を過ごすというストーリーだ。

 少しだけ仕事に慣れた少年は、樹齢100年の杉が高値で売れるのを見て、全部切れば大金持ちですねと林業会社の社長に言うと、生活の糧となる木は先祖が植えたものだと諭される。目の前の木を全部切れば一時的に裕福になれても、子孫たちが困ってしまう……。

 過去から糧を得るとともに、未来に糧を残すことで持続する林業。対して漁業の世界では、目の前にある資源を獲りすぎてしまったことが、今になって大きな問題を起こしている。その最たる例がニホンウナギだ。

 

絶滅危惧種となったニホンウナギ

 ウナギの高騰がメディアをにぎわしている。景気づけにウナギを食べようと専門店まで行きながら、張り出された値段におじけづいて引き上げた経験がある人も少なくない。理由は稚魚となるシラスウナギの不漁で、1980年ごろに比べて漁獲量は1割程度にまで落ち込んでいる。獲れなければ高くなるのは当然だ。今年については、冬場のシラスウナギの漁獲量が前年より増えたことを理由に、7月29日に来る“土用の丑の日”には、去年より安くウナギが食べられそうと期待する向きもある。もっとも、来年以降も右肩上がりで増える保証はない。むしろこのまま獲れなくなる可能性もささやかれている。

 不安を先取りするかのように、スイスに本部を置く国際自然保護連合(IUCN)は6月12日、野生では絶滅してしまう危険性がある種として、ニホンウナギを「レッドリスト」に指定した。日本の環境省は去年からレッドリストに指定しているが、これでニホンウナギ絶滅の可能性が世界レベルで認知された格好だ。

 もっとも、指定によって即座にニホンウナギの捕獲が禁じられることはなく、国際的な取引も規制されない。ただ、レッドリストは絶滅の危機にある種の取引を規制するワシントン条約の対象を検討する際に、有力な材料になる。このまま改善が見られず、本格的な規制が始まれば、… 続きを読む

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産経デジタル

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