W杯ブラジル大会が見せたサッカー界の不安(第2回)

乱開発に贈収賄、W杯が招く不満や不正

2014.06.23 Mon連載バックナンバー

 巨大なスポーツイベントを起爆剤に、都市開発や経済発展を進めたいという国や地域の思惑に乗って、サッカーのワールドカップも、開催を発展につなげたい国と新しい市場開拓を狙うFIFA(国際サッカー連盟)の思惑が、開催地の選定を左右するようになっている。もっとも、そうした利益至上主義的なスタンスが、開催中のブラジル大会では国民の反発を呼び、2018年のロシア、22年のカタールでの開催に不安の影を落として、サッカーの未来に暗雲を呼んでいる。

 

W杯に向かうブラジル先住民の怒り

 白黒の文様で彩られたサッカーのスパイクが、W杯ブラジル大会のピッチを駆け回っている。世界的なスポーツ用品メーカーのアディダスが送り出した「バトルコレクション」というシリーズで、日本代表でも香川真司や内田篤人らが履いている。モチーフとなったのは、ブラジル先住民の戦士たちが、戦いの時に顔に施していたという化粧。戦士たちの勇猛さにあやかりたいという意図から取り入れられた。

 もっとも、当の先住民たちの魂が、選手たちに力を貸すことはなさそう。なぜならW杯そのものに彼らの怒りが爆発しているからだ。今大会の開催に当たってブラジルでは、スタジアムや関連施設の建設費用や大会の運営費用をまかなうため、福祉や教育といった国民が必要とする分野への投資が縮小され、これに不満を抱いた人たちが抗議デモを繰り返している。

 先住民たちの不満には、さらに根深いものがあった。2000年代に大きく開発が進んだブラジルでは、森林破壊が進んで住む場所を失った先住民たちが出た。保護区を指定して移住先を確保する政策は滞り、都市部に流入した先住民たちが暮らすスラムのような場所も、W杯や2016年のリオデジャネイロ五輪の開催に伴う開発で奪われ始めている。この怒りをぶつけるべく、伝統的な衣装を身につけ、手に弓矢ややりを持った先住民たちが、W杯の開催反対を訴えるデモに加わった。… 続きを読む

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産経デジタル

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