有識者に聞く「働き方改革」(後編)

「働き方改革」はまず何から始めれば良いか?

2017.12.04 Mon連載バックナンバー

 日本は2019年度に、どの企業にも働き方改革の実行を義務付ける「働き方関連法」の施行が見込まれています。同法では、残業時間や休日労働に関する規制や、正社員と非正社員を同一賃金にするなどのルールが盛り込まれる見込みです。

こうした新たなルールに対し、企業はまず何から取り組めば良いのでしょうか。その方法について、前編に引き続き、東京大学 社会科学研究所の水町勇一郎教授が語ります。
(取材/文/構成 ノーバジェット)

 

やるべきことはたくさんある。でも何から始めれば良い?

 働き方改革はここ数年、企業の経営戦略でも重要なテーマとして取り上げられています。その多くは社内の労働環境を改善するとともに、業務効率化や生産性向上の取り組みを進め、働く人と会社の両方に利益をもたらすことを目的としています。

 そして、今回の働き方改革の大きな特徴は、まず働く人の視点に立って改革を進めていこうとしているところです。私もメンバーとして参加した、安倍内閣の働き方改革実現会議が2017年3月にまとめた「働き方改革実行計画」では、「働く人の視点に立って、企業文化や風土も含めた労働制度の抜本改革を行うこと」を働き方改革の基本的な考え方としています。

 では企業は、働き方改革を進めるにあたり、どのような取り組みを行えばよいのでしょうか。実は、法令遵守や労務管理など「やるべきこと」はたくさんあります。

 法令遵守ではまず、長時間労働を是正しなければなりません。改正労働基準法では休日を含む時間外労働の限度は月45時間・年360時間が原則です。残業時間の上限が1カ月100時間未満、2~6カ月平均で80時間以内という例外は認められるものの、1年の半分は45時間以内にすることが明記されています。

 長時間労働が原因の過労死が社会問題化するなか、裁判所も労働基準監督署も長時間労働には厳しい目を向けているので、法律違反にならないように労働時間を縮減することが求められます。そのためには、労働時間を強制的に減らすためのインフラをつくっていく必要があります。

 法令遵守の面では、同一労働同一賃金ガイドラインで示された賃金格差の是正にも取り組まなければなりません。正社員と非正社員の賃金表が違うとき、… 続きを読む

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水町 勇一郎

水町 勇一郎

東京大学 社会科学研究所 教授

東大法学部卒。同大法学部助手、東北大助教授などを経て現職。専門は労働法。1999年からパリ第10大学客員教授、2002年からニューヨーク大学客員研究員。政府の「規制改革会議・雇用ワーキンググループ」専門委員、「働き方改革実現会議」構成員等も歴任。

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