相手の「No」を「Yes」に変える(第1回)

“残念な部下”を動かす心理テクニック

2017.06.02 Fri連載バックナンバー

 上司にとって、指示にスムーズに従い、かつ自らの意志で積極的に業務にあたる部下の存在ほど、心強いものはありません。とはいえ、そこまで都合の良い部下が揃っているケースは稀でしょう。実際には、上司の指示に従わず、かつ自らの意思も持ち合わせていない“残念な部下”の方が多いはずです。

 完全に理想的な部下は存在しないかもしれませんが、「期待」をうまく伝えることで、部下をその理想へと近づけていくことは可能です。

 部下自身が思わず行動したいという気持ちになるような、“動かす”コツを紹介します。

 

人間は期待されるとそれに応えたくなる

 部下に対して指示を出し、部下も「わかりました」と返答したものの、一向に行動を起こさず、改善に取り組まないことはよくあります。それは部下が、心の中で「拒否」の姿勢をとってしまっている可能性があります。

 部下が上司からの指示に対して、主体的に取り組むようにするためには、「ピグマリオン効果」の活用が有効です。

 ピグマリオン効果とは、もともとは教育心理学の分野で活用されてきたもので、教師が生徒に期待をしているほど、成績が向上するというものです。つまり、期待を込めて仕事を任せることで、反抗心が緩和され、主体的な行動の促進にもつながります。

 反対に、部下が「期待をされていない」と感じると、成績やパフォーマンスが落ちる傾向にあります。これを心理学では「ゴーレム効果」といいます。もし部下が口先だけで返事をして実行に移さなかったり、行動が遅かったりするのなら、ゴーレム効果が発動されている可能性が濃厚です。速やかに期待を伝える行動をとり、対処を試みる必要性があります。

 

期待は言葉だけで伝わらない

 ピグマリオン効果を高めるためには「期待しているから」「○○さんならきっとできるから」と、言葉で表現するだけでは不十分です。

 というのも、人間は言語、非言語の両面に影響される生き物だからです。一説によれば、話の内容や言葉などの言語情報は、人間の行動のわずか7%しか影響されず、逆に言い方や声のトーン、見た目などの非言語情報が93%の影響を与えるといわれています。(メラビアンの法則)。

 たとえ言葉で期待を示していたとしても、態度で期待が示されていなければ、ピグマリオン効果は発揮しません。むしろ逆効果になる可能性さえあります。口調や声の大きさなど、非言語情報を活用して、期待を伝える必要があります。

 

大きすぎる声と腕組みに要注意

 それでは、具体的には部下に対してどのように期待を伝えれば良いのでしょうか?まず言語面では、… 続きを読む

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田倉 怜美

田倉 怜美

Well-being代表、心理カウンセラー

いじめ、セクハラ、パワハラの三重苦を経験し、保健室登校生のサポート経験から2005年よりカウンセラーを志す。2012年にカウンセラーデビュー。心理学講師、ライターと活躍の幅を広め、2016年に独立。川崎FMラジオ、TBSテレビ「好きか嫌いか言う時間」に出演。2017年夏に心理本の出版を控えている。主な資格:日本心理学会「認定心理士」、日本健康心理学会「認定健康心理士」他

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